英語の勉強法として、よくおすすめされているのが、「日記を書いてみる」というものです。ネットを調べると、「英語で日記の書き方」を説明したブログがたくさんヒットします。
まず、「今日の天気」から入って……。
っていうのが多いですね。
このブログでも、「天気・天候の英語表現」「暑い・寒いの英語での言い方」については、以下の過去記事で詳しく書きましたので、ここでは省略します。
まあ、一般的な日記の書き方については、今まで多くの方が書いていますので、軽くググってそっちを見て頂ければと思います。
他のブログと同じことを書いても、面白くないし!
ところで、いざ「日記を書こう」と思って紙に向かっても(パソコンでもよいですが)、スラスラ書ける人は多くないと思います。英語を学び始めた人にとって、身近な経験を「英語で書く」ということは、何でもない事のようで実は難しいこと。
だから、とにかく簡単な、最低限のことから書いていくのがよいのですが、それが何なのか、すら、わからないのでは?
でも、実は英語で「出来事について書く」場合、誰にでもできる、基本的な鉄則があります。英語圏の小学生が、学校で「英語で何かを述べる時、必ずそれを含めなさい」と言われるポイントがあります。
英語で日記を書く時も、まずはそこに注目していくとよいと思います。
この、「超初歩的な、英語のライティングのポイント」に着目することで、難しく考えずに、しかしわかりやすい文章を効果的に作っていくことができます。
難しいことではありません。が、知っていれば簡単にできるけど、知らなければなかなかできないこと……かも。
今回の記事では、英語で日記を書く時、ぜひとも着目すると良い「ライティングのポイント」を紹介します。
英語で何かを説明する時、必ず必要なこと
英語というと、「ペラペラ話す」ことをイメージする人が多いかもしれません。
でも実は、英語で何かを伝える時、「ペラペラ」よりももっと大切なことは、「自分の知っていること」や、「自分の経験」を、適切な方法で人に説明することです。
オーストラリアの小学校では、授業の一環として、News という取り組みがあります。Show and Tell と言われることもあります。高学年についてはちょっとわかりませんが、pre-primary(5歳児クラス)から低学年のクラスはやっています(学校によるかも)。
たいてい週一回、先生が決めた「お題」について、各自が自分で内容を考えて、クラス全員の前でスピーチします。
テーマは、
「自分の一番好きなおもちゃについて」
「自分のお気に入りの本について」
「スクールホリデーにやったことについて」
などなど、子どもらしい内容が主です。
子ども達は、たとえば「自分の一番好きなおもちゃについて」というテーマなら、その時はそのおもちゃを学校に持っていくことを許されます。そして、実際にそのおもちゃを見せながら、「自分の一番好きなおもちゃについて」クラスのみんなに説明するのです。
うちの息子は、こんな時はテンションが上がりまくりです(笑)。
そのちょっとしたスピーチのような機会のために、子ども達は事前に、発表する内容を準備します。
先生は、内容について「こういうのがよい」「それはふさわしくない」などは基本的に一切指摘しません。
が、唯一、「必ずコレを言いなさい」というものがあります。
それが、
What?
When?
Who?
Where?
Why?(場合によってはHow?)
というものです。いわゆる、5W。
とにかくこれらを必ず情報として含めるように指導されます。
たとえば、
「自分の一番好きなおもちゃ」というテーマの時に、息子はお気に入りのミニカーを持っていきました。その準備として、こんなメモを作りました。
What?
– Toyota FJ Cruiser
When?
– 2015
Who?
– My dad
Where?
– Japan
Why?
– the tyre at the back, the three wipers at the front, it’s cool.
スピーチの時は、このメモを見ながら、たとえば以下のように発表します。
My favorite toy car is Toyota FJ Cruiser. I got this in 2015. My dad bought me in Japan. I love FJ Cruiser because it has the tyre at the back, and three wipers at the front. It’s cool.
僕の好きなミニカーは、トヨタのFJクルーザーです。2015年に手に入れました。お父さんが日本で買ってくれました。FJクルーザーが好きなのは、後ろにスペアタイヤがついているところと、フロントに3つのワイパーがついているからです。カッコいいです。
2015年に一時帰国した時、夫が息子に買ってあげたFJクルーザーのミニカーが、息子のお気に入りなんですね。
特に、最後の why? に対する、“I love ~ because … .” は、とても英語らしい表現だと思います。
このように、英語圏の子ども達は、「正しく書く」ことそのものができるようになる前から、「5Wを明確に伝える」ということを練習しています。
自分が経験した出来事について書く
ライティングにおいても、この5Wは重要な基本となります。
「自分の経験したことを書く」ことを、英語では recount と言います。
日本でも、たとえば遠足に行った後とか、運動会の後とか、それについての作文を書く、なんて授業があったように記憶していますが、そういうようなものです。
もちろん recount の中でも、5Wを含めることが基本として教えられます。
日本でも、やはり作文を書く基礎として、5W という考え方を習うと思いますが、英語の学校ではもっとシンプルに、かつ徹底的に練習させられます。
英文で「自分の経験した出来事」を書く時、まずはこの5Wが、なくてはならない最低限の情報。逆にどんなに長々とアレコレ書いても、この5Wの情報が適切に含まれていなければ、ライティングとしては評価は下がります。
なので、たとえば英語で日記を書く時にも、その日にあった出来事について、まず「5Wを書く」ことを練習していくと、効果的なライティングの練習になるでしょう。
たとえば、「今日は家族と買い物に行って、新しいバスマットを買った」ということを日記に書くとしたら、どんなふうになるでしょうか?
what?
– went shopping
when?
– Today, afternoon
who?
– with my family
where?
– Laketown shopping centre
why?
– We wanted to buy a new bath mat. I got a nice bath mat, so I’m happy.
これらをそれぞれに文にしてつなげてみると、こんな感じの例文になります。
Today, I went shopping with my family. We went to Laketown shopping center in the afternoon. We went shopping because we wanted to buy a new bath mat. I got a nice bath mat, so I’m happy.
今日、家族と買い物へ行った。私達は午後、レイクタウンショッピングセンターへ行った。新しいバスマットが欲しかったので、買い物に行った。素敵なバスマットを手に入れたので、うれしい。
文章としては、味気ない、子どもっぽい、と感じられるかもしれませんが、出来事に関する事実(いつ、誰が、どこで、何をしたか)がきちんと明確に含まれています。
最後に一言でも、自分自身の感想(“I got a nice bath mat, so I’m happy.”)を入れるのもポイント!
難しく考える必要はありません。
初心者の人にとっては、ただでさえ慣れない英語で、一つのセンテンスを書くのも悩んでしまうと思います。
最初から、凝ったすばらしい英文を書く必要はないのです。まず、最低限必要なことを書いてみましょう。
順を追って説明するための『つなぎの言葉』
こうした、シンプルで簡単な文を書くことに慣れてきたら、少しずつ文章を長くしていくことができます。
その時にチャレンジしたいことは、「文を連結させる」こと。
たとえば、その日の出来事を述べる時、「最初に~に行って、次に~を食べて、その後~を見て、(最後に)家に帰った。」みたいに言うことがありますよね?
英語でも、そのような書き方があります。
事実を順序立てて、時系列で述べるために、以下のような言葉を使って文と文をつないでいきます。
英語 | 意味 |
---|---|
First,
(Second, Third, …) |
まず最初に・第一に、
(二番目に、三番目に、……) |
Then, | それから、 |
Next, | 次に、 |
After that, | その後で、 |
Finally,
In the end, |
最終的には、 |
このような言葉は、connectors of sequence 等と呼ばれます。
たとえば、娘がこちらの小学校で recount の書き方を習った時、先生がお手本で書いた例文は、以下のようなものでした。
RECOUNT:The Beach
On Saturday, I went to the beach with my family. I went there by my dad’s red car.
At the beach, we put up a tent. Next, we changed and went for a swim. The water was very cold. Then we ate some cheese sandwiches. I also ate a vanilla ice-cream. I love eating ice-cream. After that, my sister and I built a giant sandcastle.
We went home at about 4. I was tired but happy.
このような「つなぎの言葉」を加えることで、理路整然とした印象になりますし、文章全体にナチュラルな抑揚が生まれます。
第二パラグラフは、5W で言えば主にWhat(何をしたか?)に当たる部分ですが、このような「つなぎの言葉」を利用しながら、いくつかの出来事を時系列に並べていくことで、話に展開を持たせることができます。
こうした「つなぎの言葉」は、もちろんたくさんあります。多様な言葉を使えるようになればなるほど、ライティングのレベルが上がると言えるでしょう。
まずは、ここに紹介した基本的な「つなぎの言葉」を、日記を書く時にも取り入れてみては?
まとめ
「英語で日記を書く」というのは、なかなかよいチャレンジだと思います!が、いざ書くとなった時、何を書いたら良いかわからない(涙)という人も多いのでは?
今回の記事が、そんなみなさんのヒントになれば、幸いです。
毎日とまではいかなくても、週に一回でも、コンスタントに続けていくとよいと思います。
最初は5Wを書くだけで精一杯かもしれませんが、慣れてくると、だんだんと情報を付け足していけるようになるでしょう。
今回紹介した5Wの記述のしかた、そして「つなぎの言葉」の使い方は、ライティングの基礎の基礎。IELTSなどの難易度の高いライティングを行う際にも、ベースとなるスキルです。
また、「書く」だけでなく、スピーチなどの場面でも使えます。
簡単な日記を書きながら、こうしたテクニックを意識することで、「英語で伝える能力」を効果的にアップしていくことができると思います。