前回の記事では、英語での履歴書(レジュメ・CV)の書き方について、自分の経験を元に詳しく解説しました。
さて、レジュメが書けたら、求人に応募します。すると、向こうの担当者から電話がかかってくることがあります。レジュメ作成が第一関門だとしたら、この電話は第二関門。ここで、ざっくりとした経歴や業務経験などが聞かれます。この手続きを、英語ではよく、phone screening とか言われます。電話対応は難しいですよね……。「英語で電話がかかってきたら、どう出ればいいの?」「聞き取れなかった時は、なんていえばいい?」などなど、英語での電話対応のしかたについては、「英語で電話のかけ方・受け方。聞き取れない時はどうすれば?!」の記事に書きました。
電話でのスクリーニングを通過すると、三番目の関門、面接(interview)です。
私自身、昨年はいくつかのインタビュー(オンラインインタビューも含む)を経験しました。その中で、やはり英語の面接は、英語の練習も含め、とにかく準備が大切だ!と思いました。
今回の投稿では、
「インタビューではどんなことを聞かれる?」
「英語で答えるために、どんな準備をしていったらいい??」
について、自分の経験や自分が感じたことを、書こうと思います!
自己紹介
インタビューが始まると、多くの場合、まず自己紹介を求められます。
”Please tell me about yourself.”(あなたについて教えてください)
”Please introduce yourself.”(自己紹介をしてください)
”What have you been doing?”(あなたは何をしている人ですか)
のように言われました。この場合、自己紹介と言っても、必ずしも「年齢」「性別」「出身地」「学歴(出身校)」「趣味」「家族構成」……などを聞かれているわけではありません。特に、人種、年齢、結婚しているかどうか、子どもがいるか、などは、自己紹介では(その職種に関係がない限り)特に言う必要はないです。
この質問では、自分自身のことで、まず知ってもらいたいと思うことを簡潔に伝えるとよいです。
たとえば私の場合は、「ソフトウェアエンジニア職」での応募だったため、
- 日本でプログラマーとして働いていた。~のプロジェクトで、~の作業を担当した。
- 出産を機に退職し、子育てに専念していた。
- 6年前に家族でパースに来た。
- そろそろ仕事に復帰したいと思い、IT業界で再び働きたいと考えた。そのためには、今の技術を学び直す必要があると思い、昨年からアメリカのオンラインスクールで機械学習、Python、モダンC++を学んできた。
という流れで説明しました。
まず、私の場合は、応募するポジションがソフトウェア開発なので、実務経験があることを(遠い昔とはいえ)強調しようと思いました。そこで、1.はやや詳しく、プロジェクトの内容や使用していたプログラミング言語、開発環境、どの工程を担当していたか、などを説明しました。
2.3.は、短く、それぞれ1センテンスで述べるだけ。ただ、私の場合はブランクが大きいことはレジュメを見れば明らかであり、「なぜ大きなブランクがあるのか」を理解してもらう(疑いを抱かせない)ことは必要だと思ったので、言うことにしていました。
4.は、今応募している仕事に関わることなので、詳しく話しました。「~を目指して、~を学ぼうと思った。学んで得た~なスキルが、~な仕事に生かせるのではないかと考えて、~に関わるソフトウェア開発の仕事を探していた。」のように説明しました。応募する仕事の条件(requirement)に応じて、強調するポイントはやや調整しました。
……このように、話の流れの中で、自分の出身国や年齢、既婚/未婚、子どもがいる、などに言及するのはOKです。
私はこれからどうなりたいのか?その中で、なぜこの仕事に応募したのか?
そこに至るまでの自分の過去の出来事や、考え方を、伝えることを心掛けました。
企業について
他に、私がほぼすべてのインタビューで聞かれたのは、
”What do you know about us?”(わが社について、何を知っていますか?)
“Do you know what we’re doing?”(我々が何をしているか、知っていますか?)
でした。つまり、「当社の事業内容を知っていますか?」、です。これは、インタビューを受けることが決まったら、事前に求人の内容(Description)や、企業のウェブサイトを調べておくのがよいです。
カフェや飲食店のバイトの応募でも、どんなジャンルの食事を提供しているのか、特徴は何か、こだわりのポイントは、などを、英語でしっかり読んで、頭に入れておくとよいでしょうね。
覚えるポイントは、
- 主な商品、または事業部門を2,3つ
- 拠点
- 会社の歴史
- 企業のミッション
- リーダー(CEO, Presidentなど)
です。特に、「主な商品」は必ず覚えよう!
例として、パースが本拠地である、Betts というシューズショップがあります。そこの求人に応募するとしたら、Betts のウェブサイト を見て、
◆主なプロダクト
Betts provides quality, on-trend shoes and handbags at the best price for customers. Betts is creating its own collections, and selling them in stores and on its websites.
◆拠点
Betts has over 70 stores Australia-wide. Also it’s selling online.
◆歴史
Betts is a family owned company. The first shop was opened in 1912 in Perth. In the middle of 1990s, Betts was the biggest shop in Australia. 70s to 80s, Betts expanded its business Australia-wide.
みたいな感じでピックアップします。もちろん、くっきりとカテゴライズしなくていいです。抑えておくポイント、として心に留めておくとよいでしょう。
過去の業務経験について
先ほど書いたように、私自身は「自己紹介」のところで、過去の業務経験について説明することにしていたので、改めて特別に聞かれることはありませんでした。
ただ、最近までやっていた仕事が、求人の内容に直結する場合や、自己紹介では詳しく説明しなかった場合などは、さらに詳しく聞かれるかと思います。
自分のやっていた業務の分野に関する「英語の専門用語」「~を英語ではどう言う?」ということは、事前によく調べておくとよいです。
なぜ大学の専攻と違う仕事を?
これは私だけかも?しれませんが、私がほぼすべてのインタビューで聞かれたのは、
でした。私は、大学では心理学専攻だったんです。
英語圏では、「どこの大学か?」よりも「何を学んだか?」の方が重視され、その学んだ知識や専門性を生かして仕事につく、という考え方が一般的です。IT職といえば、大学でコンピューターサイエンスなどを学んだ人がなる、と考えられています。なので、このような疑問を持たれるのでしょう。
私自身は、大学では実験系の心理学を学んでいて、実験装置を制御するための簡単なプログラムを書く必要がありました。そこで初めてプログラミングに触れたわけですが、就職活動を始めた時は、プログラマーとして働こうとは、考えたこともありませんでした(そんな職業があるとも知らなかった)。ですが、私が大学を卒業した頃は、就職氷河期の最初の波がちょうど来た頃。いわゆる「一般的な就職活動」は、まっっったくうまくいきませんでした(苦笑)。そんな時、たまたま「合同企業説明会」で中小のIT系企業の話を聞き、「プログラミングをやる仕事があるんだ!」と知りました。プログラミングが面白いとは感じていたので、機会をもらえるならやってみたい、と思い、応募しました。当時、中小のIT界隈は人手不足だったらしく、(ほんの少しだけど)プログラミングの経験があるということで、入社試験を経て雇ってもらえました。
……、まあ、実際はこんな感じで、「キャリアパス」とは程遠い経過です(笑)。けど、これが人生ってもんです(笑)。
私は最初は、インタビューでも、正直にそのまんま「プログラマーになった理由」を説明していたのですが、どうも受けがよくない、という印象でした。
そこで、(事実は変えないながらも)ポジティブなストーリーになるように、言い方を以下のように変えました。
「心理学の実験に必要だったため、プログラミングを学び始めた。その中で自分がプログラミングが好きなことに気づいた。独学でさらに学び、卒業後はプログラマーの仕事を探した。試験を受けて、採用された。」
こういう流れで説明するようにしてから、誰もが納得してくれるようになりました。
日本では、新卒採用の場合、(特に文系は)学部や専門課程はあまり重視されないで、「いい大学出身」の方が重要視されますよね。そして、採用されてしばらくトレーニングを受けてから、配属が決められたりします。しかし英語圏では、「職種」「仕事の専門性」による採用。そこは、日本と英語圏の大きな違いだと思います。
私のように、大学の専攻とこれまでやってきた仕事のジャンルが異なる場合などは、その理由を聞かれるかもしれません。
雇用形態の希望は?いくらほしい?
求人では、初めから ”full-time”(フルタイム勤務)、 “contract“(期間限定の契約勤務) 、等と書いてある場合もありますが、面接で、
と聞かれたこともありました。特に私の場合、家庭があるので、「パートタイム勤務を考慮しましょうか?」みたいな意味だったのだろうと思います。
オーストラリアの場合は、full-time/part-time/casual/contract が主な雇用形態です(ここでは詳しく述べませんが)が、自分の応募する国の雇用形態については、制度と英語表現をあらかじめ調べておくとよいです。
また、
“What are your salary expectations?”
“How much salary do you expect?”
(お給料・報酬はいくらほしいですか?)
も、よく聞かれました。
この場合、ざっくりと目安を数字で言うのがよいです。たとえば、”More than $80k per year.“ など。そのために、自分がターゲットとする「地域」「職種」「経験年数または役職」の平均年収(または時給)を、リサーチしておくことが大切です。
今は、ジョブサーチのサイトなどに、そのような情報が載っているので、できるだけチェックしておくとよいです。「この地域でこの役職の平均はだいたい●●ドルなので、そのくらいを希望します」と言えれば、筋も通っており、自分としても言いやすいです。
まとめ
その他に、備えておくとよい質問内容は、
等で検索すると、色んな英語の記事がヒットします。
以下は、オーストラリアの有名な求人サイトSEEKの記事ですが、とてもコンパクトによくまとまっているので、リンクを貼っておきます。参考にしてみてください。
Common interview questions and how to answer them|SEEK
※また、ソフトウェアエンジニア職の場合は、これらの一般的な質問に加え、テクニカルインタビューがあります。アルゴリズムに関する質問に答えたり、その場でコーディングを行います。
インタビューで自分について説明する際、私自身が「とても大切だ」と思ったことは、とにかくポジティブな面にフォーカスすること!
たとえば、「なぜ大学の専攻と違う仕事を選んだのか?」のところでも書きましたが、事実はどうであれ、「~しかできなかった」「しかたなく~した」という言い方は厳禁!です。それよりも、
「自分が~したいと思った」
「自分が~しようと決めた」
というような言い方に変えましょう!
日本の場合、「自分がこうしたい」と思ってその通りに生きることは、「わがまま」「自分勝手」のような価値観があり、「(我慢して)与えられた役割をこなす」ことが美徳という感覚はあるかと思います。ですが、英語圏の場合は、自分の人生もキャリアも「自分の意志で選ぶ」もの。それが、ポジティブで自立した人、という印象を与えるのだと思います。なので、英語でのインタビューの場合は、自分の人生の中で「自分が望んでやってきた」部分にフォーカスし、自分と言う人間のストーリーを組み立てるのがよいと思いました。
また、日本の文化では、「すごく自信があるわけではないけれど、頑張ってやりたいと思います」とか、「まだまだわからないことはたくさんあるけど、学んでいきます」とか、謙虚に言いがちですよね?
でも、「~けれど、」は不要です!
ネガティブなことは、あえて言う必要はありません。ただし、「できます!」「がんばります!」「勉強します!」と威勢よく言うだけでも、信頼に欠けるかもしれません。その代わり、「~ができます。(なぜなら)~という業務をやったことがあるから」「~について知っています。(なぜなら)大学で~に関する卒業論文を書いたから」と、裏付けを述べた方が効果的だと思います。
「自分ができること、自信があることを、具体的に詳しく述べる」ことにフォーカスします。
なので、インタビューの事前準備としては、自分の経歴の「ポジティブ・ストーリー」を固めること。それができたら、それを英語で説明するよう、英文を考えて、言葉で言えるように何度も練習します。文を丸暗記、もよいかもしれませんが、私の場合は、ポイントとなる英単語(業務に関わる専門用語などは特に)を覚え、それらを使って文を頭で組み立て、英語で口に出す、という練習を、一人で何度も行いました。
また、応募する企業についての調査。英語のウェブサイトをよく読み、大切な部分で使われている英単語、言い回しを覚えておくとよいです。インタビューでは、自分が質問に答えるだけでなく、企業側が改めてポジションの仕事内容や、求人の背景、何を求めているか、などを説明してくれて、「質問はありますか?」と聞いてくれることも多いです。そんな時も、事前に企業の事業内容などを英語で覚えておくと、スムーズに理解でき、コミュニケーションに自信が持てます。
インタビューは、事前の情報収集&練習が、とっても大切だと実感しています!私自身の最初のインタビューは本当にひどいものでしたが、少しずつ慣れてきて、質問される内容のパターンもわかってきました。そのたびに自分の中で答えを調整しました。最終的にはインタビューも通過することができました。
この経験談が、海外や外資系への就職を目指す人に役立てばうれしいです。