学校で英語を勉強するうちに、英語がキライになってしまう理由の一つは、「文法が難しすぎてわからない」ではないでしょうか?
その中でも、特にニガテなのが「関係代名詞」!という人も多いかと思います。
関係代名詞を学ぶのは、確か中学3年生だったと思いますが、高校受験に出ると思うと、ますます難しく感じてしまう・・・ああイヤだ(汗)。
よくわかります(笑)。
でも、実際に「話す英語」に触れた時、関係代名詞は本当によく使われています。
しかも、ナチュラルに・・・。
だからやっぱり、英語を話すには、関係代名詞をマスターすることは大切だ、と私自身は感じています。
そんなわけで、前回の投稿では「関係代名詞」について書きました。
その中でも、「主格」の関係代名詞について、感覚的にわかりやすいよう、できるだけ日常会話で使われそうな例文をたくさん載せながら、説明しました。
https://hanasu-eigo.com/2017/02/05/576/
今回は、もうひとつ重要な、「目的格の関係代名詞」について書こうと思います。
こちらも非常によく使われますが、感覚的に覚えてしまえるとラクになると思います。
大切なのは、慣れ!
できるだけわかりやすい解説を心がけて書いてみます。
「(誰かが)~するモノ」と言う時(目的格)
たとえば、「DVDを見ようよ。」と言いたい時は、
“Let’s watch the DVD.”
となります。
どんなDVD?
たとえば、「ドキュメンタリーのDVD」なら?「 日本のDVD」なら?
“Let’s watch the documentary DVD.”
“Let’s watch the Japanese DVD.”
って言えるでしょう。
では、「(私が)図書館で借りてきたDVDを見ようよ。」は?
「(私が)図書館で借りてきた」は、形容詞じゃないし長いので、「DVD」の前にポンと入れることはできません。
言いたいことは、
“Let’s watch the DVD — I borrowed it (= that DVD) from the library.”
ということです。
これを一つの文で言う時は、
“the DVD + (that/which) + 【 主語 + 動詞 + 目的語 】
という形にします。つまり、以下のような文になります。
〇 “Let’s watch the DVD (that) I borrowed from the library.”
〇 “Let’s watch the DVD (which) I borrowed from the library.”
× “Let’s watch the DVD (that) I borrowed it from the library.”
たとえば上の例だと、DVDは物です。
「私が~するモノ」「あなたが~したモノ」など、物について言う時は、that または which を使いますが、省略も可能です。会話の中では、省略されることが多いようです。
“Is there anything (that) I can do ?”
何か私にできることはありますか?
( anything ← I can do it )
“There are a few things (that) you need to know before you go to Australia.“
あなたがオーストラリアへ行く前に知っておくべきことが2,3ある。
( a few things ← You need to know them )
“I know something (that) you don’t know.”
あなたが知らないあることを、私は知ってるよ。
( something ← you don’t know it )
“17 books (that) everyone should read, according to Bill Gates”
ビルゲイツによる、すべての人が読むべき17冊の本
( 17 books ← everyone should read them )
“There are many other things you can do.”
他にもあなたにできることはたくさんある。
( many other things ← you can do them )
「(誰かが)~する人」と言う時(目的格)
また、「人」に対して言う時は、who または that を使うか、あるいは省略可能です。
たいていの場合は省略されることが多いようです。
たとえば、「その部屋には誰かいた?」と聞きたい時は、
“Was there anyone in the room?”
となりますね。
が、「その部屋には、私の知っている人は誰かいた?」と聞きたい時は、
anyone ← I know him/her(= someone)
ということを表す必要があります。
そのため、関係代名詞を使って、以下のように言います。
〇 “Was there anyone (who) I know in the room?”
〇 “Was there anyone (that) I know in the room?”
× “Was there anyone (who/that) I know him/her in the room?”
このような表現をしている英語の例文を以下にあげます。
“He is the kind of person (that) I really hate.”
彼は、私がホントに嫌いなタイプの人間なのよ。
( the kind of person ← I really hate that kind of person)
“Everyone (who) you love will die.”
アナタが愛する人はみな、(いつか)死ぬ時が来るね。(絵本のタイトル)
( Everyone ← you love them )
“Who is the funniest person you know?”
あなたの知り合い(知っている人)で、最もおもしろい人は誰ですか?
( the funniest person ← you know him/her)
前置詞に注意
これまでに「物」と「人」の場合について説明しましたが、どちらにも共通の注意点があります。
たとえば、家の中を掃除していたらカギをみつけて、「これ、あなたが探していたカギ?」と家族に聞こうと思ったら・・・
Is this the key? = これはカギ?
The key ← you were looking for it = (そのカギを)あなたは探していた
という意味なので、関係代名詞を使ってこう聞きます。
〇 “Is this the key you were looking for?”
× “Is this the key you were looking ___ ?”
この時、「~を探す」は “look for ~” なので、for を忘れないようにします。
動詞の中には、「動詞 + 前置詞(in, at, with など) + 目的語」となるものがあります。前置詞が必要なものについては、前置詞を忘れないようにしましょう。
このようなタイプの例文をいくつか紹介します。
“Is that the man (who) Emmy is going out with?”
あの男の人が、エイミーと付き合っている人?
( the man ← Emmy is going out with him )
“That’s the only problem I’m worried about.”
それが、私が心配しているただ一つの問題です。
( the problem ← I’m worried about it )
“Everyone you meet is fighting a battle you know nothing about.”
あなたが出会う誰もが、あなたのまったく知らない戦いを闘っている。(格言)
( Everyone ← you meet him/her )
( a battle ← you know nothing about the battle )
ところで、what の使い方は?
関係代名詞で、時々what が出てくる時もあります。
what = the thing(s) that … という意味です。
と書いても「?」だと思うので、例文を上げます。
“You can do what you want to do. You can be what you want to be.”
あなたはやりたいことができるし、なりたいものになれる。
( what ← the thing you want to do )
( what ← the thing you want to be )
“Did you hear what they said?”
彼らの言ってたこと聞いた?
( what ← the thing they said )
“This is what I’ve been waiting for.“
これが、私がずっと待ち続けているものだ。
( what ← the thing I’ve been waiting for )
念のため、
× “This is something what I’ve been waiting for.”
とは言えません。
この形は、意外とよく使われる表現なので、覚えておくと役立つでしょう。
なぜ関係代名詞が難しいと感じてしまうのか。
なぜ、学校の授業で学ぶ「関係代名詞」は、難しいと感じてしまうのかな~、と考えて、私なりに思ったことがあります。
たとえば、ネットに上がっている中学生用の問題・解説で、
He has a dog. I saw it yesterday morning in the park.
2つの文を関係代名詞を使って一つにする。
→ “He has a dog which I saw yesterday morning in the park.”
というようなものがありました。
日本語だとどういう意味になるんでしょうか?
“a dog (which) I saw …” というのは、『世の中にたくさんいるdogの中でも【私が昨日見た】dog』ということです。
「彼は雑種を飼っている」「彼は体重が50kgある犬を飼っている」「彼は生まれて5ヶ月の犬を飼っている」・・・ならわかるんですが、
「彼は私が昨日見た犬を飼っている」?
どちらかといえば、「彼は犬を飼っていて、その犬を私は昨日公園で見た。」ではないでしょうか?
最初の文はナチュラルに聞こえるけど、関係代名詞でくっつけると、違和感を感じてしまうのですが・・・
関係代名詞は、ただ単に2つの文を一つにくっつけるわけではありません。そこには関係性があります。
どんなことを表現するために関係代名詞を使うのか?を理解せず、ただ「二つの文を一つにつなげる」とだけ覚えてしまい、ルールを頭に叩き込んでも、不自然な英文ができあがってしまう原因になるのでは・・・。そう、文法重視の学校のテストでは、このような直感的に理解できない文を作らなければならない(笑)ので、関係代名詞が難しく感じてしまうのかも。
最初から文法ルールだけを覚えるのではなく、どんな英文や英語表現で、関係代名詞がどんなふうに使われるのか、たくさんの例文に触れながら、ルールを覚えていくとよいのではないでしょうか?
まとめ
目的格の関係代名詞は、難しいと思われがちですが、実は洋楽の歌詞などにもさりげなく登場する文法です。
たとえば、ファレル・ウィリアムス (Pharrel Williams) の『Happy』には、
“Clap along if you feel like that’s what you wanna do”
もしもそれが君のやりたいコトだ、って思うなら、一緒に手をたたこうよ
(※筆者訳)
たとえば、ワンディレクション(One Direction)の『What Makes You Beautiful』には、
“Don’t need make up / To cover up / Being the way that you are is enough”
お化粧でカバーする必要はない、君がそのまま(ありのまま)でいれば十分さ
(※筆者訳)
たとえば、シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)の『Girls Just Wanna Have Fun』なら、
“That’s all they really want / Some fun …”
それだけが、彼らが本当に欲しいもの・・・楽しいコト!
(※筆者訳)
などなど・・・
(日本語訳は参考につけただけなので、あくまで関係代名詞に注目しつつ、英文の感覚を理解してくださいね!)
こんなふうに、全然難しい文脈じゃなくても使われています。
前回のブログにも書きましたが、最初は複雑な文で考えず、できるだけシンプルで短い文から練習を始めるとよいと思います。
というわけで、今回の例文は、できるだけ私自身がよく見聞きする表現や、本やネットの中でみつけた表現を中心に取り上げました。
英語の歌詞や有名人のSNSなどの中にも、関係代名詞を見つけてみてください!
付記)
今の日本の公立中学校では、目的格の関係代名詞で、人については that(またはwhom)を使う、と教えているみたいです。
(”Was there anyone who I know in the room?” がOKであることを教えていない。)
ちなみに今回の記事は、ケンブリッジのEnglish Grammar in Useという文法テキストを参考に書きました。それによると、「人については who or that を使う(または省略可)」と書かれています。なぜ日本の英語教育ではあたかもwhoは使えないかのように教えているのかな、とちょっとギモンに思いました。