しばしば学校教育の英語は、「実際のコミュニケーションとしては使えない」と批判されることがあります。
というか、多くの人が、そう思っていますよね。
現実に、海外の英語環境に身を置いたり、海外の人と英語でやりとりしてみて、いわゆる「生きた英語」(この表現自体、私自身はちょっとギモンですが、あえて使います)に触れてみた人が、
学校で習った英語と、海外で使われている英語は、違う!!
と感じた話を、何度か耳にしたことがあります。
私自身も、そんな一人です。
オーストラリアに来て、こちらで使われている英語と今まで学校で習ってきたはずの英語が、色々と違うことに気が付きました。
もちろん、日常会話で使われる英語と、学校で『受験や成績重視』で教える英語は、違うのは当たり前です。
でもその前に。。。それよりももっと、違うこと。
学校でも、サラッと教わったのかもしれないけど・・・。
今は教えているのかもしれないけど・・・。
「40歳になるまで、私はソレを知らないで、英語を学んでいたのか!」
と思いました。
それは何かというと・・・
英語には、アメリカ英語とイギリス英語がある。
英語は、世界80ヶ国以上で、国語や公用語として使われています。
(英語圏 - ウィキペディアより)
他にも、国際的なビジネスや研究の場では、英語が使われるケースがほとんどです。
英語圏でない国でも、英語を学ぶ人は多いと思います。
そして、これだけの国・地域に住む人々が、本当にみんな同じ英語をしゃべっているのか?というと、実はそうではないんです。
基本の単語や文法などはだいたい同じですが、国や地方によってなまりみたいなものは大きいようです。
まあ・・・考えてみれば、自然なことですよね?
そんな中で。
私達日本人が、よく『ネイティブの英語』と言いますが、その英語って、いったい何なのでしょうか???
すでに英語をある程度知っている方には、周知の事実かもしれませんが、実は英語には、大きく分けると、アメリカ英語とイギリス英語があります。
同じ英語ではありますが、表現や、使われる単語や、発音などが、結構違いがあります。
たとえば、私の住むオーストラリアは、独特の『オーストラリア英語』で知られますが、現在のオーストラリアという国はもともと、イギリス人が入植してできた国であり、基本はイギリス英語を継承しています。
他にも、英語を公用語としている国の中では、
【イギリス英語(British English)】
イギリス、欧州連合、インド(準公用語)、シンガポール、南アフリカ共和国および他のアフリカ諸国、オーストラリア、ニュージーランド、など。
【アメリカ英語(American English)】
アメリカ、カナダ、中央アメリカ・南アメリカの一部の国、フィリピン、など。
です。
カナダは、アメリカ英語に入っていますが、表記などはイギリス英語が採用されている部分もあるようです。
この、どちらの英語を使うか?というのは、国の距離感・地理的な要因もあるのでしょうが(たとえば、カナダはアメリカの隣、とか、ヨーロッパはイギリスに近い、とか)、それ以外に、歴史的な要因も大きく関わっています。
オーストラリアの場合もそうですし、イギリス領だった(あるいは今も)国ではイギリス英語、アメリカ領の国はアメリカ英語、が使われています。
ネットを調べてみると、英語人口の中ではアメリカ合衆国の人口が2/3を占めるため、「アメリカ英語の方が世界の主流だ」と書いているサイトもあったりします。
が、使われている国で言えば、イギリス英語を使用する国もたくさんあり、どちらが主流と決めつけるのは、意味がないんじゃないかと個人的には思いますが。
そんな中で、学校の義務教育を始め、日本で学ぶ英語と言うのは、基本的に『アメリカ英語』です。
その理由は、やはり戦後、日本は敗戦国としてアメリカの影響を強く受けてきたことと関わりがあるのだろうと思います。
・・・知っていました?!
実は、私はオーストラリアに来るまで、英語には『アメリカ英語』と『イギリス英語』があるなんてことすら、知りませんでした!
先にも書きましたが、オーストラリアは基本的にイギリス英語の流れを汲んでいるので、私が学校で習ってきた英語とは、細かい部分で色々と違いがあり、特に最初は戸惑いました。
日本で習ったアメリカ英語と、オーストラリアのイギリス英語との違い
「アメリカ英語」と「イギリス英語」、実際にどんなところが違うのか?
ということについては、すでに多くのサイトで説明されています。興味ある方は「アメリカ英語」「イギリス英語」でググってみてください。
たとえば以下のサイトは、両者の違いがよくまとめられていると思います。
同じ英語でもこんなに違う!アメリカ英語とイギリス英語の単語と文法(DMM英会話ブログ より)
私自身、オーストラリアに来て、すごく身近な単語なのに、日本で習ったものと違っていて、戸惑ったものがありました。たとえば・・・
- フライドポテト → chips
- 消しゴム → rubber
- 車のガソリン → petrol または fuel
- 集合住宅 → flat
- テイクアウト → takeaway
- 薬局 → chemist
- ズボン → trousers
- (会計に並ぶ時などの)列 → queue
など。
ここに挙げた英単語は、イギリス英語です。アメリカ英語では何ていうか、わかりますか?
ぜひ調べてみてくださいね。
英語の発音に苦しむ必要はなかった?
他にも、「アメリカ英語」と「イギリス英語」では、発音の違いもあります。
アメリカ英語の特徴は、Rの発音にあると言われます。
日本人は、Rの発音が苦手で、LとRを言い分けるのがヘタだ、とよく言われます。
アメリカ英語を学んでいると、このRをうまく発音できないことが、「私は英語の発音がヘタだ(涙)」と思ってしまう一つの原因かもしれません。
しかしたとえば、ここオーストラリアでは、それほどRの発音が厳しくありません。
面白いと思ったのは、here という単語の発音が、こちらではほぼ、日本語そのまま「ヒア」という感じです。日本では、最後をしっかりRで発音するように教わりますが、それとはずいぶん違います。
また、たとえば tomato を英語で言う時、日本語では「トメイトゥ」という発音で習ったと思うのですが、それはアメリカ英語の特徴。オーストラリアではわりと日本語に近い感じの、「トマート」と言う発音です。
実際の発音の違いは、oxfordのオンライン辞書で聞いてみてください。
tomato (Oxford Learner’s Dictionaries)
オーストラリアで英語を学んでいると、Rの発音というのは日本人が気にするほど重要ではなく、英語独特のリズム感や抑揚をしっかりつけて発音することの方が、大切なように感じます。
他にももちろん、イギリス英語の流れを汲みつつ、オーストラリア英語独自の言葉や発音というのもあります。
独特のオージーイングリッシュについては、以下の投稿にまとめました。
まとめ
そこで、日本でこれから英語を学ぶ方には、ぜひとも考えてほしいこと。
「ネイティブのような英語」とは、そもそも何か?
日本で、「英語をしゃべれるようになりたい!」と思っている人の中には、『ネイティブの英語』という、漠然とした、模範のような英語がどこかにあるとイメージして、それをしゃべれるようになりたい!と思っている人も多いかもしれません。
でも、本来そんなものはないんだ、ということを、私は言いたいのです。
日本で『正しい英語』と教えられているものは、実は『アメリカ英語』という英語の一種類でしかありません。
学校の英語教育の中では、まずそこで教えられている英語が、「世界共通言語としての英語」の一つの形でしかない、ということを、最初にしっかりと教えてほしいと思います。
そして、アメリカ英語と一口に言っても、アメリカだって広い。ニューヨークのような大都市で使われる英語と、農村部で使われる英語は、クセが違うのも当たり前。
日本語のことを考えてみれば、よくわかりますよね。
『ネイティブの英語』に、日本人は怯えすぎていませんか?
ローカルの人が使う会話表現は、いずれ実際に英語を使うことになった時に、英語でやりとりする相手や、訪れた国に合わせて、必要な都度学んでいくことができるでしょう。
日本で英語を学ぶなら、自分の言いたいことを、英語の基本ルール(英文法)に沿ってしっかり文に組み立てて言えるようになることが、まず大切なことではないでしょうか。
それはどこの国にいっても、英語を話す上で必ず必要となることだから、です。