他国の人との交流で、話題に上がりやすいトピックの1つが、食べ物のことではないでしょうか?誰にとっても、『食』は毎日の中に必要なものですし、食べることなしには生きていけません。そして大多数の人は、おいしいものを食べるのが好き、ですよね!
また、食や料理と言うのは、その国や民族の文化と密接に関りを持っています。海外の国に興味を持つきっかけが、その国の料理だった、という人もいるかと思います。
逆に、海外の人が知っている日本のこと、といえば、『日本食』であることも多いです。以前こちらの過去記事でも書きましたが、sushi, ramen, tempura, teriyaki などの言葉は、英語になっていると言ってもいいほどです。海外の人に、「日本の~という料理はどう作るの?」と、レシピを聞かれたことがある人もいるのでは?
英語で海外の人と交流をするならば、「じゃがいもを煮る」「魚を焼く」「野菜を炒める」などの調理法について、英語での表現を一通り知っておくと、とても便利です。ただし、日本語と英語では、料理のしかたに対する表現や捉え方も、ちょっと違いがあります。英語圏の人に料理についてうまく伝えるには、単に「日本語の~は、英語では~と言う」を覚えるだけではなく、英語圏の料理に対する理解も必要になってきます。
今回のブログでは、私自身がオーストラリアに住んで日常生活を送る中で覚えた、「煮る」「茹でる」「炒める」「和える」などの調理法に関する英語表現を、こちらの料理文化も交えながら紹介したいと思います。
「煮る」&「茹でる」。英語で使い分けは?
たとえば、野菜の煮物や、魚の煮つけ、肉じゃがなど、日本には「煮る」料理が多いですが、英語ではそれをどんなふうに表現したらいいでしょうか?
英語で「煮る」を表す時、一般的には boil (強火でぐつぐつ煮る) や、simmer(弱火でコトコト煮る)という単語を使います。
注意点として、boil や simmer は、『液体そのものを加熱する』、あるいは『何か(食材)を液体の中で加熱する』、というのが元々の意味です。たとえば、ただ「水を沸かす」ことも “boil water” と言いますし、食材を水の中に入れて茹でることも、強火なら boil、 弱火でゆっくり加熱する場合なら simmer と言います。
これは、日本人が「煮る」とか「煮物」といった言葉で思い描く、「煮ることによって煮汁の味をしみ込ませる」とはちょっと異なりますよね。もし私自身が、日本料理の「煮物を煮る」をそのニュアンス通りに英語で言うとしたら、“Simmer in the mixture of soy source, sake, and sugar so the vegetables absorb the flavour.”(野菜が味を吸い込むように、しょうゆと酒と砂糖を混ぜたものの中で弱火で加熱する)という感じになるかなぁ?と思います。
もう一つ、「煮込み料理」を指す言葉としては、stew があります。「煮込む」という動詞でも使えます。一般的に、肉や野菜などを少なめの水分でじっくりコトコト煮込む料理を表します。stew の方が、煮込むイメージには近いと思います。英語で “stew recipes” とググれば、牛肉や豆や野菜を何時間もかけて煮込んだスープやシチュー(文字通り)のようなレシピが出てきます。
一方、普通に「茹でる」と言いたい場合は、先に述べた通り、boil (沸騰した水に食べ物を入れて加熱する=茹でる)を使います。「パスタを茹でる」と言いたい場合は、“boil pasta” 、または、“cook pasta in boiling water” のように言います 。Cook は、「料理する」という意味の他に、「食べ物を加熱する、火を通す」という意味もあります。
例文)
Boil the broccoli for 3 minutes.
ブロッコリーを3分茹でます。
Do you like boiled eggs?
ゆで卵は好きですか?
Add stock, cover and simmer for 15 minutes until pumpkin is soft.
ストック(洋風だし)を加えて、ふたをして15分間、かぼちゃが柔らかくなるまで煮ます。
蒸す
日本語の「蒸す」は、英語では steam を使います。もともと steam は名詞で「蒸気」という意味がありますね。日本語でも、「スチームアイロン」と言うので、ピンとくる人もいるかと思います。蒸しパンや肉まんのような食べ物は “steamed buns” と言いますし、蒸し器のことは steamer と言います。
例文)
Pour the egg mixture in the bowls. Steam over low heat for 12 minutes.
卵液を器に注ぎます。弱火で12分蒸します。
「焼く」の表現色々
日本語で「焼く」という言葉は、割と広範囲の料理を指していると思います。たとえば、魚を焼く、ステーキを焼く、クッキーを焼く、卵を焼く……。色々ありますが、英語表現は異なる場合があります。
英語では、「焼く」に当たる動詞として、bake, grill, roast, fry(pan-fry), toast などがあります。
Bake は、一般的に、ケーキ、パン、マフィンといったお菓子などを「オーブンで焼く」ことを言います。ピザ、パイ、キッシュなどを焼く時も、bake を使います。一般的に、「生地」を『オーブンで焼く』時は、bake を使います。また、baking といえば、そのようなオーブンを使ったお菓子や料理のこと(またはそれらを作ること)です。たとえば、“Do you like baking?” と聞かれたら、日本語風にいえば、「ケーキ作り・お菓子作りは好き?」という質問です。
一方で、英語圏ではオーブンを使う料理が非常に多いですが、もう一つ、「オーブンで焼く」調理法を表す roast という言葉があります。たとえば、日本語でもローストビーフとかローストチキンとか言いますが、そのように、主に肉や野菜をこんがりとオーブンで焼く、という意味で使われます。
日本では、魚の干物を直火網やグリルで焼いて食べることもよくありますよね。そのように、火の上で炙るように焼くことを、grill と言います。オーストラリアの場合、大きなガスのバーベキューコンロが一家に一台庭に置いてあるのが常識ですが(うちにはありませんが 笑)、これで肉や魚介や野菜を焼くことを grill と言います。一般的には、火の上に網や鉄板を設置して、その上で「焼く」調理法を指します。また、日本では「炭火焼」という言葉がありますが、特に「炭火で焼く」ことを英語では chargrill と言います。
現代の日本の生活で、日常的に機会の多い「焼く」料理は、やはりフライパンを使ったものだと思います。フライパンで「焼く」ことは、fry と言います。たとえば、目玉焼きのことは “fried egg” と言いますし、ステーキを「(フライパンで)焼く」を英語で言い表すなら、“fry the steak” となります。
ただ、fry の本来の意味は、「食材を油で焼く・加熱する」調理法を指すので、文脈によっては「揚げ物を調理する」「揚げる」の意味になることも多々あります。もし、特に「揚げる」と区別し、確実に「フライパンで焼く」と言いたい場合、pan-fry という言葉もよく使われます。
また、これは日本語(カタカナ語)にもなっていますが、食パンを「焼く」「トーストする」時は、toast という英単語を使います。もちろん食パンだけでなく、ロールパンなどを「トースターで温める、焼く」時も、toast を使います。
例文)
Add the salmon fillets to the frying pan, and fry for 3 minutes until crisp.
フライパンにサーモンを加え、カリっとするまで3分焼く。
Grill steak over direct heat 4 to 6 minutes.
ステーキを直火で4~6分焼く。
Place carrots on a pan and roast until browned and tender.
ニンジンをオーブン皿に置き、焼き色がつき柔らかくなるまでオーブンで焼く。
揚げる
「揚げる」は、先にも触れた通り、英語では fry を使います。日本語で言う「フライドポテト」も、“fried potatoes” のことですね。ただし、フライパンで焼く fry と明示的に区別したい場合、はっきりと「油で揚げる」ことを表現したい場合、deep-fry という言葉もよく使われます。
例文)
Fry the oysters in small batches.
牡蠣を少量ずつ揚げます。
“Tako no karaage” is deep-fried octopus.
「たこのから揚げ」は、たこを揚げたものです。
炒める
日本の家庭料理では、「炒める」料理もとても一般的ですよね。フライパンを熱して、油をしいて材料を入れ、かき混ぜながら火を通していく調理法を、英語では stir-fry と言います。たとえば、チャーハンは “stir-fried rice” 。焼きそばは “stir-fried noodle” です。
例文)
Add all vegetables and stir-fry for several minutes.
すべての野菜を入れて、数分炒めます。
和える・混ぜる
料理を作っていて、「材料を混ぜるだけ!」とか、「サラダをドレッシングで和えます」とか言います。このように、材料を混ぜたり合わせたりすることは、英語で何というでしょうか?
これも、料理のしかたによって、違いがあります。たとえば、野菜をボールに入れてマヨネーズやドレッシングと「混ぜる」とか、すりごまを味付けして茹でたほうれん草と「和える」のような動作は、toss という単語が使われます。
一方、「ぐるぐるかき混ぜる」ような動作は、stir と言います。たとえば、紅茶にミルクを入れて「混ぜる」など。先に述べた stir-fry も、「かき混ぜながら焼く」というイメージですね。
また、ドレッシングの材料をボールに入れて油が液体と混ざるようによく混ぜたり、溶き卵と調味料をよく混ぜるなど……。このように、『縦』に混ぜこむ動作は、whisk という言葉を使います。
その他、一般的に「混ぜる」を表す単語としては、mix があります。
例文)
Combine the tomatoes and baby salad leaves in a bowl. Drizzle with dressing, and toss to combine.
トマトとベビーリーフをボールに入れます。ドレッシングをかけて、よく混ぜ合わせます(和えます)。
Wisk eggs in a bowl and season with salt and pepper.
卵をボールに入れてかき混ぜて、塩コショウで味付けします。
Mix all the ingredients together.
全ての材料を混ぜ合わせます。
「加熱する」と「生食」?
ところで、cook という単語は、「(広い意味で)料理する/食事を作る」という意味がありますが、もう一つ、「加熱する/火を通す」という意味もあります。
これまでに「煮る」「蒸す」「焼く」「揚げる」「炒める」といった調理法の英単語を紹介してきましたが、そのどれも、cook という言葉で表すことができます。
例文)
Cook the pasta in boiling water.
パスタを茹でる。
Cook steaks in a frying pan.
ステーキをフライパンで焼く。
Cook prawns on a grill.
エビを直火で焼く。
Add stock to the pan. Reduce heat to medium-low. Cover and cook for 20 minutes.
ストックを鍋に加える。中弱火に落とす。蓋をして20分煮る。
このように、cook という一つの単語を用いても、前後の文脈から異なる調理法であることを表せます。これは知っておくと便利ですし、ナチュラルな表現です。
また、逆に「生食する」「生で食べる」ことを表す場合は、『生の』『加熱していない』を表す形容詞である raw や uncooked を使って、以下のように表現することができます。
例文)
Do you eat raw eggs?
あなたは生卵を食べますか?
Can I eat uncooked quinoa?
キヌアは生で食べられますか?
特に、raw という発音は日本人にとってちょっと難しいですね。もしも raw と言って通じなかったら、uncooked に言い換えると通じることも多いです。
また、「刺し身(生魚)」に関しては、私の住むパースでは、sashimi という言葉がかなり浸透していて、お店でもたいてい通じます。
まとめ
私は4人家族の主婦なので、8年前に一家でパースに来た時、まず最初に覚えたのが、料理に関する英語でした。とにかく日々の食事は待ったなし。なので、慣れないこちらの食材で料理を作る方法を、なんとか早く覚えないといけませんでした。そのため、英語のレシピをググったり、こちらのレシピ本をよく読んだりしました。また、買い物の中で覚えた単語も多かったです。
今回は、そうやって色んなレシピ本を読んだり、英語圏で生活する中で私自身が学んだ「調理法」に関する英語表現を、それが使われる場面と例文も交えて紹介しました。
ある時は、隣の家の人に日本料理の作り方を聞かれたこともありました。料理に関する表現は、レストランなどでメニューについて質問する時にも役立ちました。食べ物のことは、誰にとっても身近な話題で、日々ついて回ることなので、料理に関する単語や英語表現は、いくらでも覚えておいて損はない!と思います。
料理の『味』に関する英語表現については、以下の過去記事をお読みください。