日本に来る外国人旅行客の人数が増えている昨今。日本に住んでいても、英語を使う機会は増えているのではないでしょうか?
特にそれを実感するのは、接客業をしている方々かもしれませんね。
クレジットカードでの買い物や、ちょっとした書類に、英語で「ここにサインをお願いします」と言う必要がある時もあるでしょう。
ところで、「サイン」はカタカナ語として、ほぼ日本語になっているといっても過言ではありません。英語で署名をお願いしたい時も、とりあえず「サイン」といえば、なんとなく英語話者にも通じるのでは……?という考えが浮かびますよね。
ところが!
実はこの「サイン」、おそらく元となったであろう、英語の sign とは、意味がビミョーに異なるんです!
日本語で私達が意味する「サイン」って、英語で正しくは何というのでしょうか?
署名を求める意味で「サインください」と言いたい時の正しい言い方は?
有名人の「サイン」は、署名の「サイン」と同じ???
signという単語は「サインする」だけじゃない???
ということについて、この記事では例文も挙げながら、細かく解説したいと思います!
日本語の「サイン」は sign じゃない!?
たとえば相手に署名を求めたい時、日本語で、「サインください」「サインをお願いします」と言いたいですよね。そのため、なんとなーく英語にすると、“Please write your sign here.” のように言いたくなります……よね?!
ところが、これは英語的には間違いです。
「署名・サイン」という意味で使う時、sign という単語は、「サインする・署名する」という動詞です。
一方、「サイン・署名」という名詞は、英語では signature なんです。(発音はアプリや電子辞書でチェックしてくださいね)
そのため、英語で署名を求める時、一般的には以下の例文のように言います。
例文)
Please sign here.
ここに署名をお願いします。
Please sign all the documents.
全ての書類にサインをお願いします。
Could you write your signature here?
ここにサインをしていただけますか?
May I have your signature?
ご署名をいただけますか?
“sign” を使った例文と、“signature” を使った例文の、使い方の違いに注目してください。
実は私自身も、結構長い間、“Should I write my sign here? (ここにサインを書けばよいですか?)” のように、間違った言い方をしてしまっていました(苦笑)。まあこれでも、通じるといえば通じます(笑)。ですが、正しい言い方の方が断然よいですし、一度頭に入れてしまえば自信を持って言えるようになります。
有名人の「サイン」って英語でなんて言う?
また、「有名人にサインしてもらった」とか、「お店に有名人のサインがあった」などと、言うこともありますよね。
このような、有名人や芸能人のアノ「サイン」のことは、autograph という単語が一般的に使われます。
例文)
I can’t believe she’s got Michael’s autograph!
彼女はマイケルのサインを持っているなんて、信じられない!
autograph という言葉は、英語初心者の人には聞き慣れない英単語かもしれません。確かに、普段の英会話の中では、それほど頻繁に出る言葉ではありません。とはいえ、私たちも日本語の日常会話で、「有名人のサイン」を話題にすることはたまにありますよね?そのくらいの感覚で、英語の会話でも使われている言葉です。
関連して、サイン入りCDやサイン本などは、“an autographed CD”, “an autographed book” のように言うようです。有名人が「サインする」という場合は、sign を動詞として使って
“He signed an autograph.”
と言ったり、autograph を動詞として使って
“He autographed.”
のように言います。
英語の sign は「サインする」だけじゃない!
ところで、sign という英単語は、日常会話レベルでよく使われる単語です。意味としては、これまでに説明した「サインする」の他にも、重要なものがあります。
ここまで、sign は動詞として説明してきましたが、名詞としても使われます。ただしその場合、「署名」とはかなり違う意味になるので、注意が必要です。
(1)看板・案内表示
sign が名詞で使われる場合、最も基本的なのが「看板・案内表示」の意味です。たとえば「お店の看板」のことは、a shop sign や a store sign。「道路標識」なら、a road sign や a traffic sign といいます。
例文)
Can you see a red sign on the right side?
右側に赤い看板があるのが見えますか?
Please follow the traffic signs when you drive.
運転する時は、道路標識に従ってください。
(2)ジェスチャー・合図
また、sign は、「ジェスチャーなどの身体表現の意味」もあります。日本語でも、例えば野球の選手間で行う合図を、「サイン」と言ったりしますが、言葉ではなく体の動きで伝える、というところから来ているのかもしれませんね。
特に覚えておくとよいのが、「手話」は、英語で sign language と言います!
(ちなみに、英語の sign language といっても、やはりアメリカとオーストラリアでは違うらしく、それぞれの英語圏でそれぞれの sign language があるようです。)
(3)存在を示すもの
その他、何かの存在を「示すもの・手がかり」という意味で、sign という名詞が使われます。以下のような使い方でたまに出てくるので、日常会話に必須ではないかもしれませんが、頭の片隅に入れておくと、リーディングやリスニングで役に立つかもしれません。
例文)
There is no sign of life here.
ここには生き物がいるようすがない。(誰も・何もいないようだ)
I’ve seen a sign of improvement.
改善している様子が見られる。
まとめ
というわけで、この記事で紹介した「サイン」にまつわる英単語を、改めてまとめておきたいと思います。
英語 | 動詞/名詞 | 意味 |
sign | 動詞 | 署名する・サインする |
名詞 |
|
|
signature | 名詞 | 契約書などの、署名・サイン |
autograph | 名詞 | 有名人のサイン |
私は英語を学ぶ中でよく思うのですが、カタカナ語になっている言葉の方が、むしろ正しい英語を覚えることが難しいですね。ついつい英語の場合でも、日本語の「カタカナ」の感覚で使ってしまいがちです。が、日本語のカタカナと、音が同じ英語表現が、必ずしも意味や使われ方まで正確に一致しているとは限りません。いったんカタカナ表現を忘れて、英語は英語として覚えていかないといけないなぁー、といつも思います。今回取り上げた「サイン」も、そのうちの一つですね。
ところで、英語圏に住んでいると、サイン(signature)を求められることが本当に多いです。みなさんが海外を訪れる時も、日本で海外から来た人に対応する場合も、今回紹介した内容はいざという時役立つはず!
英語の書類に署名する時の注意点は、以下の記事に詳しく書きました。海外の顧客とやり取りをする時などに、参考にしただければと思います。