関係代名詞「主格」と「目的格」の使い方と例文について、過去記事で書いてきました。
「話す英語」「使える英語」の中で、関係代名詞がどうやって使われているのか、を、簡単に感覚的に知ってもらえれば・・・という気持ちで書いてきました。
ところで、関係代名詞を勉強していると、もうひとつ「非制限用法」「継続用法」と言われる使い方があります。
なんじゃそりゃ???
って思うかもしれません。
まあ、日本語の呼び方を律儀に覚える必要はないでしょう~(笑)。
これまでの過去記事で紹介した関係代名詞(that, which, who)とは、似ているようでちょっと異なります。
今回はそれについて、書こうと思います。
言いたいことを付け足すための関係代名詞(非制限用法)
たとえば、以下の英文を読んでみてください。
過去記事を読んでくださった方なら、意味がわかるかと思います。
「アジアに生息するゾウは、耳が短い。」
ということです。
この文を読んでわかることは、
「世界の他の場所にもゾウはいて、中には長い耳を持つものもいるかもしれない。でも【アジアのゾウは、耳が短い。】」
ということです。
一方、
この場合は、
「ゾウ - 私本当にそれ(ゾウ)が好きなの - は記憶力がよい。」
という意味になります。
このように、文の間や後ろに、” ~, which” (物)または ”~, who” (人)という形で関係代名詞が入る場合があります。書く時は、which や who の前にカンマ(,)が必要です。
前者の場合は、「~するゾウ」「~なゾウ」と、数ある「ゾウ」の中でも特徴を特定したり限定するために、関係代名詞を使います。
一方、後者の場合(~, which)は、「どんなゾウか?」を特定しているわけではありません。which を使って、前に述べたことに追加し、言い足しています。
前者は、物や人を限定するために使う関係代名詞なので、「制限用法」と呼ばれることがあるようです。それに対し、後者の場合はそういう働きはないので、「非制限用法」と呼ばれるのかな?と思います。
非制限用法の関係代名詞の注意点
これらの2種類の関係代名詞は、基本的な使い方のルールは同じです。
たとえば、人にはwho、物にはwhich を使う点など。
ただ、異なる点もあります。
制限用法 | 非制限用法 |
---|---|
which(物)、who(人)の他に、that(物、人)を使える。
例) “Elephants that live in Asia have short ears.” でも〇。 |
which(物)、who(人)のみで、that は使えない。
例) “Elephants, which(that は×) I really like, have good memory.” |
【目的格】の場合は、that/which/whoを省略できる。
“I went to see the doctor you recommended to me.” あなたが薦めてくれた医者に行ったよ。 |
who または which は省略できない。 “I went to see the doctor, who everyone in my school knows. “ 私は医者にいった、その医者のことは学校の誰もが知っているんだ。
|
例文
このような関係代名詞の使い方をした例文を、以下にまとめます。
“I’ve seen ‘Absentia’ , which was amazing.”
Absentia(映画)を見たことがあるけど、素晴らしかった。
“I also used to be a golf caddie, which was funny because I don’t enjoy golf.”
私はゴルフのキャディーもやっていたけど、おかしかったわ、だって私はゴルフが好きじゃないの。
※which は I also used to be a golf caddie のことを指している。
“What do I say about my previous job, which was horrible, in a new job interview?”
再就職時の面接で、前の仕事について ー それはひどいものだったんだけど ー 何て言おうか?
“I checked in early, which was great.”
私は(ホテルに)早くチェックインしたけど、それはすごくよかった。
※ which は I checked in early のことを指している
“Not only are they full of nutrients, they’re extremely budget friendly, too, which we love!”
(それらは)栄養に優れているだけでなく、すごい節約の味方でもある - 私達が大好きなもの!
“A neighbour of mine, who was about 27, committed suicide about two years ago, so that’s why I got involved in Youth Focus originally.”
ある近所の人が ー その人は27歳だったんだけど ー 2年前に自殺したんだ。だから僕はYouth Focusに参加したんだよ。
”The singer, who won the album of the year Grammy last year for her first official pop album 1989, said the pre-Super Bowl show would likely be her only one this year.”
そのシンガー - 彼女の初の公式ポップアルバム『1989』が、昨年グラミーでアルバムオブザイヤーを受賞した -は、そのプレ・スーパーボウルショウが彼女の今年唯一のショウになるだろう、と言った。
“Prepare yourself for an exciting and interesting education, which is demanding, but also really rewarding.”
面白くてワクワクさせてくれる学びのために、備えよう。それ(学び)は大変ではあるが、すごくやりがいもある。
”The bushfire, which started near the intersection of Hurst Road and Hooker Street, is unpredictable and out-of-control and is moving fast in a south-easterly direction.”
ブッシュファイアーは、Hurst Road と Hooker Street の交差点付近から始まったが、予測不可能かつ制御不可能な状態で、南東方面へ急速に移動している。
まとめ
リスニングの場合、コンマがついているかどうかはわかりません。が、実際には「これは制限用法?非制限用法?」と特に考えなくても、話し方や話の流れから読み取れることも多いです。
また、たとえば以下の文では、
”They arrived at the venue, which has an outdoor pool area, at about 3.30pm.”
(彼らはその場所に - そこには屋外プールエリアがある - 3.30pm 頃到着した。)
実際に話す時は、
… at the venue ↑, ^ which has an outdoor pool area ↑, ^ at about 3.30pm.
というように、文の区切りを上げ気味に発音して終わらせたり、言葉を切ったりすることが多いです。
「非制限用法」という名前は覚えなくてもいいのですが、このようにして話しながら補足情報を付け足している、ということに注目しましょう。
自分が話す時は、
“They arrived at the venue at about 3.30pm. And there is an outdoor pool area there.”
というように、2つの文に分けて言ってもOKではないかと思います。
ただ、こういう関係代名詞は、ニュースのアナウンサーやリポーター、解説、インタビューに答える時やスピーチなど・・・で、英語ネイティブはスピーキングの中で使っています。より知的な表現になるのかもしれません?
また、新聞や雑誌、参考書などにも、関係代名詞はよく使われます。
オンラインニュースや英語の雑誌、英語のブログなどを読む時に、関係代名詞を理解していると役立ちます。
前回の記事にもちょこっと書きましたが、関係代名詞はやはり、「関係代名詞を使って表現しやすい文」の中で使われるものなのです。
文法ルールを覚えることも大切ですが、実際にネイティブの英語素材を聞いたり読んだりしてみて、その中で、「どんなことを言いたい時にどんな形で関係代名詞が使われているか」をよく拾ってみると、わかりやすいです。
今回挙げた例文も、私が身近に見たニュースや本や雑誌、人のブログやSNSの書き込みなどから拾って来ました。
みなさんも、自分の興味ある素材の中から、関係代名詞を探してみてください。