英語を学んでいると、次々と新しい英単語を覚えて行かなくてはなりません。
が、中には、辞書で単語の意味を調べても、いまいち意味がよくわからない英単語ってありますよね。
それもそのはず。
英単語の中には、「日本語では、そういった状況をピッタリと言い表す言葉がない!」というものがあります。
日本語では、そういうことってあまり日常的に言わない……、というようなことも、英語の中では、そういう単語を使ってサラリと表現する。そういうことがあります。
でも、もともと日本語にない表現なので、「英語では、こういうことを、こういう単語で表現する」ということを知らないと、単語の日本語訳だけを見ても、ピンとこないのです!
今回は、私自身がネイティブの英語に触れてきた中で、「日本語にないけど、英語ではこういうことを表現する時に、こういう言い方をするんだ!」と印象に残った5つの単語と、それを使った例文を紹介します。
完全に私の主観でピックアップしました(笑)が、どれも、日常の身の回りでよく登場する言い方なので、知っておくと便利だと思います。
deserve
英語ネイティブの人がよく使う表現で、
“You deserve it!”
というのがあります。
deserve とは、辞書を引くと
「(人・事などが)…する価値がある・する権利がある」
と出てきます。
でも、これだけ読んでも、いまいちピンとこないのでは?
たとえば、コンテストで素晴らしいパフォーマンスをした人に対し、「あなたは優勝してもおかしくない(くらいレベル高い)」「それだけの力がある」「優勝に値する」……というようなことを言いたい時。
英語ではよく、以下のように言います。
You deserve to win.
あなたは優勝するに値する。(優勝するだけの能力を持っている・優勝するにふさわしい)
I think you can win this contest. You deserve it.
あなたはこのコンテストで優勝できると思うわ。それに見合う人よ。
deserve は動詞で、以下のように使います。
deserve something
物 に値する・(物を受けるに)ふさわしい
deserve to do
~をする価値がある・権利がある
deserve は、賞をもらったり、称賛を受けた人、(よいことをして、それに見合う)特権を与えられた人に対し、「(あなたが)それを受け取るべきだ」「(あなたが)それをしていいんだよ。その権利がある。」みたいなことを表現する時に、よく使われます。
日本語だと、そういうことをストレートに伝える言葉がなかなかないと思います。「優勝に値する……」とか、カジュアルな日常会話の中ではあまり使われないですよね。
英語だと、You deserve it. という3語で言えちゃいます(笑)。
例文)
They deserve praise for all their hard work.
彼らは、すべての懸命な努力に対し、称賛を受けるに値する。(褒められてしかるべきだ)
I hope they get the punishment they deserve.
彼らの行いに見合う罰を受けてほしい。
二番目の例のように、(罰などを)「受けるに値する」「受けるべきである」というような、ネガティブな意味でも使われます。
offer
英語ではよく、offer という単語が登場しますが、これも私自身が「英語っぽい」と思う表現です。
offer とは、一般的に、
「申し出る」「差し出す」「提案する」
というように訳されます。
こうした言葉はもちろん、日本語にもないわけではありませんが、「~を申し出る」って、日常的にはどんな場面で使われるでしょうか?日本語の会話では、普段あんまり使う人はいないんじゃないでしょうか?
ですが、英語の中では、幅広い場面で使われます。
よく使われるのが、「~しましょうか?」と、手助けや(協力・物などの)提供などを相手に申し出たり、提案するような行為を指して、offer と言います。
offer は動詞で、
offer (someone) something
何か を(誰か に)申し出る
offer to do
~することを申し出る
の形で使われます。
例文)
She offered me a lift to school.
彼女は私に、学校まで車に乗せてってあげる、と言ってくれた。(申し出てくれた)。
※ a lift = 車にちょっと乗せてってあげること
We offered him a good job.
我々は、彼によい仕事があるけれどやりませんか、と申し出た。
A: Would you sell me that painting?
B: What are you offering (= what will you pay) for it?
「その絵を売ってくれませんか?」「何を提供してくれますか?(=引き換えにいくら払う?)」
offer は、日常の中の「~しようか?」という気軽な申し出にも、仕事やプロフェッショナルがサービスとして提供する内容にも、どちらにも使われます。
また、offer は名詞としても使われます。
A: “If you like, I can give you a lift home.”
B: “I’m ok, my dad’s gonna come by his car soon. But thank you for the offer anyway.”
「もしよかったら、家まで車で乗せてってあげられるよ。」
「大丈夫。お父さんが車でまもなく来るから。でもとにかく、そう言ってくれて(=その申し出)ありがとう。」
日本では、よく「年棒○○円のオファーをもらった」というようなことが言われますが、このオファーはいうなれば、
「年棒○○円であなたを雇いたいんですが、どうですか?」という提案をもらった、という意味なんですね。
indulge
ネイティブの英語で、比較的よく出てくる indulge という英単語。
indulge は動詞で、
indulge in ~
「~を好きなだけ楽しむ。」「~に対する欲望を満足させる。」
という意味があります。
また、
indulge someone with ~
indulge oneself with ~
someone/oneself に、~を好きなだけ与えて甘やかす
という意味があります。
一般的に、どんなシチュエーションで使われるか、というと……。
「普段なら節度を保った量にするべきものを、(この時だけは・特別な機会に)好きなだけ楽しむことを許してしまう」
みたいなニュアンスです。
悪い意味を含むこともあるけれど、必ずしもそうとは限りません。
よく見かけるのが、レストランなどの美食や、スパ・エステなどの美容のキャッチコピー。
「自分を思う存分甘やかそう」「自分の望むままに好きなだけ楽しもう」
みたいなイメージです。
また、食べ物について、
「美味しいものを、(あるいは甘いものや体にあまりよくないものを、)節制せずに食べたいだけ食べる」
という意味もあります。これもたいへんよく使われます。
例文)
During the Christmas holidays, we indulged in cakes.
クリスマス休暇の間、私達はケーキを食べたいだけ食べた。
“Indulge in a luxurious high tea overlooking the Indian Ocean at Perth Grand Hotel.”
『パースグランドホテルで、インド洋を見渡しながら豪華なハイティーを好きなだけ味わって。』
“Find luxurious gift ideas and makeup sets to indulge yourself!”
『豪華なギフトのアイデアと、あなた自身を贅沢に満足させるためのメーキャップセットを見つけよう。』
また、indulge は動詞ですが、
indulgent(形容詞)
= 甘やかし気味の、欲しいままに楽しむような
indulgence (名詞)
= 甘やかして、欲しいだけ与える・楽しむこと、好きなだけ食べること
という単語もあります。
日本では、贅沢をしたり、好き放題に楽しむことは、よくないことと思われがちですが、英語では「自分自身を甘やかす」ことを表現する単語がちゃんとある、というのが、なんだか面白いと思います。
発音とアクセントに注意!電子辞書などでチェックしてくださいね。
demanding
demand という単語は、知っている人も多いと思います。
一般的に、動詞では「要求する」、また名詞では「要求・需要」といった意味があります。
一方、demanding という形容詞もあります。
意味としては、「多くの努力・忍耐・労力を要求するような、大変な(もの・こと)」というような意味です。
どんな文脈で使われるかと言うと、たとえば仕事についてよく使われます。
例文)
Being a nurse in a busy hospital is a demanding job.
忙しい病院の看護師は、(多くをこなさなければならない)大変な仕事だ。
Fruit Picking can be quite hard, repetitious and physically demanding work.
果物の収穫作業は結構大変で、繰り返し作業で、肉体的に(重労働を要求される)きつい仕事だ。
また、子育ても demanding という言葉がぴったりな仕事。
Life with a new baby is demanding and unpredictable.
生まれたばかりの赤ちゃんとの生活は、多くの心身の労力を必要とされるものであり、予測できないことが次々に起こるものだ。
“20 Tips for Dealing with Demanding Children”
手がかかる子(あれこれと要求の多い子ども)に対処する20の方法
日本語では、単に「大変な」「キツイ」等と訳されるようですが、実際には「(多くの労力や犠牲を要求されることだから)キツイ」ということ。
英語ならば、その理由も含めて一言で表すことができます。
struggle
これもさまざまなシーンでよく登場する英単語、struggle。
struggle は動詞で、辞書を引くと、
「(…しようと)もがく」「奮闘する」「苦労して進む」
等と書いてあります。
複数の意味がありますが、実際に struggle がよく使われる場面として、
「なかなかうまくいかないことを、苦労して取り組んでいる」「苦労しながら、(何かを)一生懸命やる」
というような意味があります。
単に「苦労する」でも「がんばる」でも表現できない、「困難を抱え、骨を折りながら、やっている」様子を表現することができます。
使い方は以下の通りです。
struggle with something
苦労しながら物事に取り組む
struggle to do
~をすることを、困難を抱えながらやっている
例文)
Many single parents struggle to bring their children up on a low income.
たくさんのシングルペアレンツが、少ない収入で、困難を抱えながら必死に子ども達を育てている。
She has been struggling with this question for hours.
彼女はこの問題に何時間も取り組んでいる。(この問題を解こうとしているが、難しくてなかなか解けないでいる)
I’m still struggling to speak English.
いまだに英語を話すのに苦労しています。(難しさを抱えながらなんとか英語を話している)
このような、「難しい状況の中で頑張って取り組んでいる」様子、日本語で表すには、ちょっと表現の工夫が必要ですが、英語では一言で表すことができます。
話し言葉でも、書き言葉でも、幅広いシチュエーションで使われる英語表現です。
different
different という単語は、知っている人も多いでしょう。
基本的な意味は、
「(…とは)違った、異なった」
という形容詞です。
The weather in Perth is quite different from that in Tokyo.
パースの天気は、東京とは結構違う。
などのように使います。
けれど、もうひとつ、特にカジュアルな口語表現で使われるのが、「今までと違っていて斬新な」「普通と違っていてユニークな」というような意味でも使われます。
例文)
The food was very different and smelled wonderful.
その食べ物は今までにない感じのもので、素晴らしい匂いがした。
“Addis Ababa – That was different! Food was not what I expected, but was very delicious.”
Addis Ababa(レストラン)- 他のどことも違っていた(珍しい、他にはない、新しいタイプのレストランだった)!食べ物は予想していたようなものではなかったけれど、とってもおいしかった。
このように、「他のどんなものとも違う」「唯一無二の」というような意味合いを、英語では different という単語で表すことができるんですね。
文脈により、悪い意味で使われることもあるようですが、このような場合はどちらかというと、「どれとも違っていて面白い・印象的」というような、わりと良い意味で使われているように思います。
また、
もあります。たとえば、
make a difference
で、「(状況を)改善する」「よい影響を与える」「よい変化をおこす」という意味で使われます。
例文)
She shows how one person can make a difference in the world.
彼女は、いかにたった一人の人間が世の中を変えられるか、ということを示している。
「今までと違う」「他と違う」ということが、それだけでポジティブな意味になってしまうのは、英語らしい表現だ、と思います。日本人の感覚では、いまいちピンとこないかもしれませんね。(私自身がそうでした)
まとめ
他の言語を学ぶ時は何でもそうだと思いますが、英語を使う難しさの一つが、「日本語にはそもそもないような表現が、英語にある。」ということだと思います。
そんな時は、「その英語表現を、ネイティブの人は、どんなシチュエーションで、どんな気持ちで使うのか?」といったことから理解しなければなりません。
でも、それを知ることで、今まで自分が言葉にしたことのない感情や、事柄を、英語ならば簡単に言葉にできるようになります。英語を学ぶ面白さって、そんなところにもあるように思います。