「持つ」「持っている」と英語で言う時、皆さんがもっとも思い描くのが、have という動詞ではないでしょうか?
昨年世界で大流行した、ピコ太郎の『PPAP』でも・・・。
♪ I have a pen.
♪ I have an apple.
…
おそらく、日本人にもっとも馴染みのある英語フレーズ、“I have a pen.”(笑)
英語を習い始めて最初の最初に、この I have … というフレーズを習ったと記憶しています。(今は違うかもしれませんが)
でも、、、
have とは、「持っている=所有している」という意味なんですよね。
でも、たとえば赤ちゃん連れのお友達に、
「その荷物、私が持ってあげるよ。」
なんて言いたい時、あります。
それって、“I’ll have it.” で、いいの?????
でもこの場合、自分がそれを所有するわけじゃなく、あくまで「持ってあげる」ってこと・・・。
他にも、
「今日は暑いから、水筒を持って来た。」
「この家具、一緒に持てる?」
「トイレ行くなら、かばん持っててあげるよ。」
「お皿、しっかり持って!」
「自分のものは、自分で持ってね。」
・・・などなど、日本語の「持つ」も、日常の中ではいろんな表現があります。
そんな時、ぜんぶ have でいいの?
have じゃない英単語で表現するのだろうか???
というのが私の疑問でした。
その疑問を以前、私は英語の先生にぶつけたことがあります。そして教えてもらったことが、すごくわかりやすく、助けになりました。
今回は、その教えを元に、「持つ」を英語で言う時の表現をまとめます。
「持っている」のhaveの使い方徹底解説。
have は、「所有している」「持っている」ことを表す、最も一般的な動詞です。
I have a car.
私は車を持っている。
I have an iPhone 6S.
私はiPhone 6Sを持っている。
I have a rice-cooker.
私は炊飯器を持っている。
・・・などなど。
同じ意味で、own (~を所有している)という動詞もあります。
ownは、家や土地、車など、法的な所有権を表すような時、ちょっとかしこまった表現で使われることが多いです。たとえば、契約書など・・・。
また逆に、日本語では「持っている」と言わないけど、「所有している」という意味で、英語ではこんな表現もよく使われます。
I have two children.
私には子どもが二人いる。
If I have a chance, I’ll show you that.
もしも機会があったら、それを見せてあげるよ。
Do you have time to finish the report today?
今日レポートを終わらせる時間がありますか?
I have a problem.
私は(何か)困ったこと(問題)がある。
She has a cold.
彼女は風邪を引いている(cold = 風邪)。
Do you have a toilet?
トイレありますか?(お店などで)
注意1)「持っている」だけど現在進行形は使えない
have は、「持っている」という意味では、現在進行形( be + ~ing)で使うことはできません。
たとえば、日本語では、
「今、iPhone持ってる?(持っていたら見せてほしいんだけど・・・)」
と言うことがありますが、
ということはできません。
この場合、
Do you have your iPhone right now?
※right now = ちょうど今
Do you have your iPhone with you?
(あなたの手元にiPhoneがあるか、というニュアンス)
などのように言うことができます。
「have は、持っている(=所有している)という意味では、現在進行形(~している)では使えない」ということについては、過去記事でも少し紹介しています。
注意2)イギリス英語では have got
have と同じ意味で、イギリス英語では have got が使われることがあります。
I‘ve got an iPhone 6S.
I‘ve got two brothers.
She‘s got a cold.
※I’ve got = I have got, She’s got = She has got
特に口語では、このように省略されて言われることが多い。
「出かける時に持っていく」はbring
では、出かける時などに「~を持っていく」「~を持ってくる」という時の「持つ」は、どのように英語で表現するのでしょうか。
bring を使って、このように言います。
I’ll bring it to you tomorrow.
明日それを持ってまいります。
Don’t forget to bring your jacket.
ジャケットを持っていくのを忘れないで。
I brought a bottle of wine today.
今日はワインを1本持って来ました。
Did you bring your iPhone today?
今日はiPhone持ってきた?
「一時的に手で持つ」はhold
一方、「~(物など)を(ちょっとの間)持つ」という場合もあります。
この場合は、物を「持つ」と言っても、所有しているわけではなく、「手でつかむ」という意味合いです。
英語でこのように「持つ」という時は、hold という単語を使います。
Can you hold this for me?
これ持ってくれる?
I’ll hold your bag while you put on your coat.
あなたがコートを着る間、私がバッグを持っててあげるよ。
He was holding a knife in one hand.
彼は片手にナイフを持っていた。
ちなみに、子どもがブランコに乗っている時などに、「しっかりつかまって!」等と言うことがありますが、そういう時も hold を使います。
Hold on tight!
しっかりつかまって!
「手でガッチリつかむ」はgrab
また、hold と似たような意味で、grab という単語も使われます。
grab は、hold よりも、すばやく、ガシッと掴むようなニュアンスがあります。
わしづかみっ!みたいな雰囲気ですかね?
若い人同士のラフな会話ではよく使われるのを聞きます。
また、広告の宣伝文句などでも、よく登場します。普通に hold や get(後の項参照)よりも、ちょっとオシャレな感じかも?
Grab your stuff and get creative!
あなたの持ち物を持って(手に取って)、クリエイティブになろう!
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今すぐ最新のニュースレターを手にして!
※ copy = 本・雑誌・CDなどの、複製された印刷物などのこと。
「持ち運ぶ」はcarry
たとえば、「重い荷物を持ってくれた」などのように言うこともあります。
このように、何かを持って運ぶ、というシチュエーションを表す場合は、carry を使って以下のような表現が適しています。
I’ll carry that for you.
それ(荷物など)を持って(運んで)あげるよ。
She carried the vegetables to her mother.
彼女は母親のところへ野菜を持って行った。
Shall I carry your suitcase?
スーツケースをお持ちしましょうか?
「手に持つ」動作を表す時はget
「手に取る」「手に入れる」「取る」「とらえる」などの意味として、もっとも一般的に使われるのが getです。
たとえば、親はよく子どもに言うと思いますが、公園で遊んで帰る時、
「もう帰る時間だよ。自分の物(おもちゃ、上着、靴など)持って!」
なんて言いますよね。そんな時は、
と言います。
「持ってくる・取ってくる」はget, fetch
また、「~を持ってくる」と言う時に、get または fetch という英単語を使います。
これは、「(何かを)取って戻ってくる」という動作を表します。
Can you get ice-cream from the fridge?
= Can you fetch ice-cream from the fridge?
冷蔵庫からアイスを持って来てくれる?
I’m fetching the parcel from Australia Post.
郵便局に荷物を取りに行くところです。
※Australia Post = オーストラリアの郵便局のこと。
たとえば、犬に棒を投げて取ってこさせる遊びをする時、
“fetch!”
なんてよく言いますね。
まとめ
日本語で何気なく「持つ」「持っている」と言いますが、実は、色んな意味や動作を表す言葉だったんですねー。
日本語の「持つ」という単語を基準に、英語を考えてしまうと、混乱してしまうかも・・・
『英語では、それぞれの動作を示す言葉は違うんだ』ということを、まず知っておくといいですよね。そう思って、今回はこんな記事を書いてみました。
それぞれの動作やシチュエーションをイメージし、対応する言い方を覚えていくとよいのではないかと思います。
というわけで、冒頭に紹介した、
たとえば赤ちゃん連れのお友達に、
「その荷物、私が持ってあげるよ。」
なんて言いたい時、
・・・なんて言ったらいいか、わかりますか?
運んであげるとしたら、
“I’ll carry it.”
あるいは、たとえば小さいお子さんに靴を履かせる間、荷物を持っていてあげるよ、と言いたならば、
“I’ll hold it.”
などがナチュラルではないかと思います。
そして、この記事を読んだあなたは、大きなスーツケースを抱えて駅の階段を上っている外国人旅行者の人にも、もうためらわずに声をかけてあげられるハズ!