たとえば私のように、なんらかの事情で、大人になってから「英語でコミュニケーションしないとならない!」という必要に迫られて、英語を勉強している社会人の人も多いと思います。
そんな時は、とにかくまず最初に、「具体的なこと・事実関係」が言えないといけないし、理解できないといけません。
主語と述語。肯定or否定。過去・現在・未来……。
といったことを正確に表現するための英語をマスターすることが、大切になります。
ところが、実際のコミュニケーションの場面(特に口頭での会話)では、それだけではちょっと物足りない場合があります。
たとえば日本語なら、
「それ、誰のカサ?」
と聞かれれば、
「ジェイミーのカサだよ。」
と言うのはナチュラルです。
でも、たとえば目の前にカサがあった時、一緒にいる友達に、
「それ、ジェイミーのカサだよね?」「ジェイミーのカサでしょ?」
のように言う場合もあります。
この時、「ジェイミーのカサだよ。」と「ジェイミーのカサだよね?」の違いは、何でしょうか?
前者は事実を述べています。それに対して後者は、「だよね?」があることで、事実を述べつつも、相手に返事を求めていることがわかります。
こういうニュアンスこそが、対面のコミュニケーションの中では、雰囲気を左右しますよね。
英語でも、そんな言い方をしたい時に使われる文法があります。
「付加疑問文」という言われるものです。英語では Question tags と言われます。
私自身、オーストラリアに来て英語を使うようになり、最初はとにかく必要最低限の事実を言うことだけで、精一杯でした。
でもやっぱり、会話の中で「~だよね?」「~でしょう?」という言葉が言えないと、なんだかぶっきらぼうになってしまう……と感じていました。
自然と、「付加疑問文」を使う事の必要性に気づいていくわけですが……。
難しい!!
「付加疑問文」って、日本語にはないルールなので、マスターするのがとても難しいです。
頭ではルールをわかっても、いざ会話の中で……、「相手の早口の英語を聞き取り、単語を考え、文法を組みたて、言いたいことを言う」のがやっとの状態の中で、そこに「付加疑問文」を付け足すなんて……。
神業ー!ムリムリ!(>_<)
と私は思っていました。
でも、練習しなくちゃうまくなれない!少しずつ会話の中で「付加疑問文」を取り入れるように、今も練習中です(笑)。
そんな私自身の経験から……。
今回は、「だよね?」というニュアンスを出すための「付加疑問文」の使い方と、初心者が会話に取り入れるためのコツを紹介します!(ぜひ最後まで読んでくださいね)
付加疑問文の基本ルール
たとえば、
It’s Jamie’s umbrella.
それはジェイミーのカサです。
これは普通の文です。
これに対し、
It’s Jamie’s umbrella, isn’t it?
それはジェイミーのカサだよね?
この isn’t it? が、「~だよね?」という感じを表します。このような文を、文法的には「付加疑問文」と言います。
※文の後に付け足される isn’t it? の部分を、この記事内では「ミニ疑問文」と呼びますね。
付加疑問文の大きなルールとしては、
- 文が肯定(例: It is ~)の場合は、否定のミニ疑問文(例: isn’t it?)が付く。
- 文が否定(例: It isn’t ~)の場合は、肯定のミニ疑問文(例: is it?)が付く。
があります。
ミニ疑問文は、基本的に、「メインの文を、肯定と否定を入れ替えた疑問形にする」と考えるとよいです。
付加疑問文の例)
メインの文 | ミニ疑問文 |
---|---|
肯定文(~だよね?) | |
You are ~ , | aren’t you? |
It was ~, | wasn’t it? |
You will ~ , | won’t you? |
You can ~, | can’t you? |
You should ~, | shouldn’t you? |
You have + ~ed,(完了形) | haven’t you? |
否定文(~じゃないよね?) | |
You aren’t ~, | are you? |
It wasn’t ~, | was it? |
You won’t ~, | will you? |
You don’t ~, | do you? |
You didn’t ~, | did you? |
You can’t ~ | can you? |
You shouldn’t ~, | should you? |
You haven’t + ~ed,(完了形) | have you? |
例文)
He is a lawyer, isn’t he?
彼、弁護士だよね?
You can play the piano, can’t you?
あなたはピアノが弾けたよね?
She didn’t come, did she?
彼女は来なかったよね?
There wasn’t any trouble, was there?
何も面倒な事はなかったよね?
ちょっとややこしいパターン
以下のような、「現在形・過去形の動詞が使われている肯定文」は、ちょっと注意が必要です。
You like music.
→ You like music, don’t you?
あなたは音楽が好きだよね?
He bought a new car.
→ He bought a new car, didn’t he?
彼は新しい車買ったよね?
この場合は、普通の文(You like music)を疑問形にして(Do you like music?)、それを否定形にする(Don’t you like music?)と、その頭の部分がミニ疑問文になります。
また、主語が This, That の場合は、ミニ疑問文の主語は it になります。また、主語が名詞や固有名詞の場合は、ミニ疑問文の主語は対応する代名詞になります。
例文)
This isn’t a Japanese car, is it?
これは日本車じゃないでしょ?
Students should wear school uniforms, shouldn’t they?
生徒達は制服を着ないといけないよね?
Emma doesn’t like broccoli, does she?
エマはブロッコリーが好きじゃないよね?
また、特殊な例として、“I’m ~” で始まる文の場合は、
I’m the best person to do it, aren’t I?
(それをやるのに)私がうってつけ(最もよい人物)でしょう?
になるそうです。
付加疑問文の発音のポイント
「付加疑問文」を会話の中で使う場合、重要なのがイントネーションです。
一般的な疑問文のように、最後を上げて発音すると、「彼は弁護士だったと思うけど、そうだっけ?」と相手に質問している感じが強くなります。
一方、
と、通常の文のように最後を下げて発音すると、「彼は弁護士だよね。」という感じで、話し手はその内容を「確かだ」と思っている度合いが強くなります。相手に質問しているというよりも、同意を求めて話しかけている、というようなイメージになります。
発音やトーンについては、BBC Learning English の以下の動画が参考になります!ちょっと早口で聞き取るのが難しいかもしれませんが、英語サブタイトルを出して見ることもできますし、YouTubeページには書き起こし(Transcript)も記載されています。
「だよね?」と言うもっと簡単な方法
さて、「付加疑問文」のルールはわかっていただけたと思います。
でも問題は、「いざ英語で会話するとなったら、ややこしすぎて使えない!」ってこと(笑)。
いや、笑いごとじゃなく、ホントです。
冒頭にも書きましたが、ネイティブのしゃべりを懸命に聞きつつ、応答するために単語を探して文法を組み立てて、と頭がフル回転なのに、さらにこの、ややこしい「付加疑問文」のルールを当てはめて……なんて、やってられないんですよ!現実問題として。
でもどうしても、「だよね?」「ですよね?」というニュアンスを足したい、という場合があります。
そんな時に使えるのが、文末に “is that right?” と付ける方法です。
She usually come to school by train, is that right? (= doesn’t she?)
彼女は普段電車で登校しているよね?
I need to return this book by next Thursday, is that right? (= don’t I?)
この本を来週木曜日までに返却しないといけないんですよね?
また、親しい相手とのカジュアルな会話なら、
You didn’t do it on purpose, right? (=did you?)
(あなたは)わざと(それを)やったんじゃないよね?
のように言うこともできます。
“is that right?” や “right?” なら、肯定・否定を入れ替えたり、文の主語や助動詞について考えなくてもよいので、いざと言う時に初心者にも使いやすいです。
覚えておくと便利です!
まとめ
日本人が「英語を勉強する」となると、比較的後回しにしがちな「付加疑問文」。もちろん後回しでいいんです。が、英語ネイティブはもちろん、普通に会話の中で使って来ます。
不思議なことに、こんなに複雑なルールなのに、ネイティブの人はまったく混乱することなく、よどみなく使いますね(笑)。くやしー。
そんなわけで、やっぱり会話の中で「付加疑問文」が使えるようになると、英語でしゃべる時の自由度が上がる、という感じがします。
しかし、すべてのバリエーションをいっぺんに覚えるのは不可能です。
そこで、私はまず、“is that right?” を覚えました。これは、英語の先生から教えてもらった方法で、いざと言う時に役に立ちました。
また、「付加疑問文」の練習法として、まず、“isn’t it?” を使えるようになろうと思いました。
It’s a nice day, isn’t is?
It’s awesome, isn’t it?
It’s funny, isn’t is?
……などなど。
「いい天気だね」「おもしろいね」「すごいね」「ひどいね」のような簡単なことを言う時、“It’s … “で始まる文が多いです。だから、そういうごく簡単な文に、“isn’t is?” をつけて、「おもしろいよね?」「ひどいでしょ?」ということから始めてみました。
いまだに、それ以上が使いこなせない私ですが(苦笑)。
最後に、本文で書きそびれましたが、付加疑問文に対して答える時は、深く考える必要はありません。
“It’s funny, isn’t is?” でも、“It isn’t funny, is it?” でも、返事としては、
- もし funny ならば、“Yes. (It’s funny.)“ 。
- funny じゃないなら “No. (It’s not funny.)“
になります。