たとえば海外のドラマや、番組のトーク、インタビューなどを聞いていると、すごくたくさんのことを話しているように思えます。
英会話に慣れるまでは、英単語の一つ一つがどれも重要で、すべてを理解できないと文が理解できない、というふうに感じます。
ですが、ある程度慣れてくると、会話の中の「どれが重要」で、「どれは深く考えず聞き流してよい」かが、少しずつわかってきます。
文の中には、その目的を伝えるために必ず言わなければならないこと、つまり「主語 + 動詞 (+ 目的語)」、、、の他に、意味を強めたり盛り上げたり、あるいは強すぎる表現を薄めたりするための表現が混ぜられることがあります。
たとえば、日本語でも、
「その服は派手だ。」
と言いたいんだけど、ちょっと遠まわしに、
「その服はちょっっっと派手って感じだと思うなぁ。」
なぁんて言ったりしますよね・・・?
特に日常英会話においては、このように、実は「言わなければならないこと」とはあまり関係のない、いわゆる「付け足しのような」言葉が、わりと多用されています。
もちろん、使われるのにはわけがあるので、「余計」とは言えないんですが・・・。
そういった表現は、逆に「単語の意味」を真剣に考えてしまうと混乱を起こしてしまいます。
今回の投稿では、そうした、「会話の中で多用される、付け足しの言葉」を紹介しようと思います。
これらの言い回しを知っていれば、意味のない単語を理解しようと気を取られることがなくなり、結局のところ「その英文は何が言いたいのか?」を、よりつかみやすくなります。
ちょっと、少し - a bit/a little bit
「ちょっと」「少し」というニュアンスをつける場合、
a bit (少し)
a bit of + ●●(名詞) (少しの●●)
という言い回しがよく使われます。
“I got a bit tired.”
ちょっと疲れたわ。
“We have to be a bit more innovative.”
我々は、もうちょっと革新的でなければならないね。
“We ate a bit, and talked a lot.”
私達は少しだけ食べて、たくさんしゃべった。
また、名詞の前に入れて、「少しの~」という形でも使います。
“Can I have a bit of sugar?”
ちょっとだけ砂糖いただけますか?
“I think I got a bit of weight.”
私ちょっと太った気がする。
さらに、little をつけて、
・a little bit
・a little bit of ●●(名詞) (少しの●●)
ということもできます。これも「少し」「ちょっと」という意味で、使い方は a bit/a bit of と同じです。
文からa bit を除いても、ちゃんと文として意味が通じますが、 a bit を入れることにより、「ちょっと」というニュアンスを入れます。
日本の学校では、a little(?) とか a few(?)とか習ったと思いますが、通常の英語の会話の中で、「ちょっと」「少しだけ」と言う意味を足すためにもっともカジュアルに使われる表現は、この a bit/a little bit ですので、覚えておくと便利です。
もし会話の中で、a bit とか a little bit とかいう言葉が聞こえたら、「bit は小片で・・・」と考える必要はありません。「ちょっと」と言っているんだな、と受け止めればOKです。
たくさん – a lot
「たくさん」ということを表す場合、
・a lot
・a lot of ●●(名詞) (たくさんの●●)
という言い回しがよく使われます。
“Donald Trump lies a lot.”
ドナルド・トランプはたくさんウソをつく。(イギリス紙の見出しに実際にあったもの)
“I’m full. I ate a lot.”
お腹いっぱい。たくさん食べたわ。
また、名詞の前に入れて、
“I saved a lot of money to travel the world.”
世界旅行をするためにたくさんのお金を貯金した。
日本では、「たくさんの」という意味を表現する時、many や much を使うと教えられます。それももちろん正しいですが、日常会話の中では、a lotも非常によく使われます。特に、カジュアルな会話としては多用されます。
a lot や a lot of という言葉が聞こえたら、「いっぱい、と言っているんだ」と思えばよいですね。
みたいな - kind of/sort of
kindは、「種類」などと覚えている人が多いと思いますし、一般的にはそういうふうに使います。
たとえば、
“What kind of music do you like?”
あなたはどんなタイプの音楽が好き?
のように使いますね。
“What sort of music …?”
“What type of music …?”
も、同じ意味です。
でも、それとは違う使い方として、
・kind of ~
・sort of ~
という表現には、「~みたいな」「~という感じ」という意味があります。
つまり、単語の意味を和らげたり、ぼかしたりする意味です。
“It’s kind of expensive.”
高いって感じだね。
“I saw a puppy which was kind of ugly.”
ブサイクな感じの子犬を見た。
“I was sort of sorry to see him go.”
彼が去るのを見て、気の毒というような気がした。
この、kind of と sort of、どちらも使い方は同じです。
近年では、sort of の方がよりメジャーだと聞いたことがありますが、kind ofもよく使われますね。
「~みたいな」「~的な」「~と言えるような」というような感じで、そのものズバリを言うのを避ける・・・という時に付ける、あいまいさを足すような言葉です。
kind of / sort of がなくても、文が成り立つところに着目です。
“It’s kind of expensive.” は、“It’s a bit expensive.”とは異なることに注意。a bit はあくまで量的に「ちょっと」。kind of は、確かにexpensiveなんですが、表現をボカしているのです。
日本でも、特に若者言葉として「みたいなー」「的なー」という表現がよく使われますが、英語でも同じようなものかなー(笑)と思います。
しかし、このkind of/sort of は、フォーマルなライティングなどでは使われません。
会話で使われる英語表現だということを覚えておきましょう。
言いかえ - I mean
会話の中によく挟まれる言葉として、耳にすることも多い、“I mean” という言い方。
I mean の’mean’は、もともと「意味する」という意味があり、
“Do you know what I mean?”
私の言ったこと、わかる?
“What do you mean?”
どういう意味?(相手の言ったことに対し、あなたは何を意味しているの?という疑問)
“I’m sorry I hurt you, I didn’t mean it.”
あなたを傷つけてごめん、そんなつもりはなかった。
などのようによく使われます。
ですが、“I mean” が不意に文の中に挟まれたり、最後に付け足される場合があります。
これは、前の言葉を言い直すような意味があります。
“I really do love him… as a friend, I mean.”
彼のことが本当に好き・・・友達としてってことだけど。
“The temperature in Perth reached 40C this afternoon. It was actually hot, I mean, boiling hot.”
今日の午後、パースは気温が40℃に達した。実際暑かった、というか、めちゃめちゃ暑かった。
特に会話や話し言葉の中では、前に自分が言ったことを言い替えたり、補足するような時に、“I mean,”という言葉が差し込まれます。
文の途中で不意に “I mean,” と聞こえたら、「私は~意味する・・・?」と考えずに、「別の表現で言い換えたいんだな」と考えて、後に来る言葉に集中するとよいです。
えーと、でね? ー You know
これも、会話の中では非常によく出てくる言葉・・・” You know,”
会話の途中に出てきた場合は、ポイントを強調して聞き手の理解を確認したり、あるいは話し手が考える時間を得るために、挟まれます。
“We stayed at that hotel, um…you know, the one down the street from Times Square.”
私達はあのホテル、・・・えーと、ね、タイムズスクエアからちょっと行ったとこにあるホテルに泊まったの。
日本語でも、話の途中で「でね?」とか「えー」とか、などと、挟みますよね?これ自体はなくても、文は成り立つのです。が、会話の中では、クッションとしてよく挟まれます。
“I really want to go to that show, but the ticket is so expensive, you know?”
本当にそのショーに行きたいわ、でもチケットがすごく高いでしょ?
文末に付くと、相手に確認や同意を求める感じになります。
また、文頭に用いて、きっかけ作りというか、聞き手の注意をひきつけるために、”You know, ~”と入ることもあります。
“you know,…” と言われたからと言って、「あなたが知っている…」と言われているわけではないので、意味を深く考えずに聞き飛ばしましょう。
まとめ
英語の会話表現の中で使われる表現・言い回しで、本文の意味とはやや関係がないものだけど、非常によく登場する表現を紹介しました。
これは、ごく一部ではありますが、、、
英語に慣れないうちは、文全体の意味を理解するために、「どれが重要な単語であり、どれがあまり関係のない『ニュアンスを出すための』言葉か」というのが見分けがつかないんですね。
だから、すべての単語に集中しようとして、追いつかなくなってしまう・・・。
今回紹介した表現は、文を構成するためにすごく重要なものではありません。
私は、これらの言葉を覚えてから、「あ、kind of … と出てきたら、『みたいな』『っぽい』的な意味なんだな」などと理解できるようになり、そこは意味を考えずに聞き飛ばして、次に出てくる単語に注目するようになりました。
そのようにして、文の中で本当に集中して聞き取るべきところがわかってから、リスニングが一段階ラクになった、と感じます。
逆に、自分が英語をしゃべる時も、ただ必要最低限のことを言うだけでなく、少し曖昧さを足したり、余白を残すような表現ができるようになります。
ただし、フォーマルな場面の会話では、あまりこうした表現を使いすぎるのは好まれない、とも聞いたことがありますが・・・。まあ、程度の問題だと思いますが。
なんにせよ、これらの英語表現は、知っておいて損はないと思います。というか、英語に触れるようになったら、必ず出会う表現ですから。
こういう言葉は他にも色々とあるので、今後も紹介していけたらと思います。