「●●●(日本語の言葉)って、英語でどう言うの?」
「(日本語の文)を、英訳するとどうなるか?」
という質問は、ネット上でもよく見かけます。
突然、海外の人と英語でやりとりしなくちゃならなくて、とりあえず日本語でこれこれこういうことを、英訳して伝えたいんだけど・・・みたいなシチュエーションだと思います。
そして、そんなふうにして英訳した日本人の英語って、やっぱりなんだかちょっと、「ん?」ってなる。
私自身、以前は思いっきり、そうでした。
学校で教わった英文法とにらめっこ。和英辞典とにらめっこ。
そうやって作られた英文は、やっぱりちょっと、ぎこちないものがあります。
・・・それはなぜ?
ではどうすれば、ナチュラルな英文が作れるようになるの?
そのヒントを考えてみたいと思います!
英訳はしちゃダメ?英語で言いたいことを言う時のコツ
私自身が今はオーストラリアにいて、いまだに理想とは程遠い英語レベルではありますが、ネイティブの英語に少しずつ慣れてきている状態です。
いろんな英語の会話や文章に触れる中で、気付いたこと・・・当たり前だけど、「そもそも日本語と英語は、しくみが違う!」ということでした。
日常会話や身の回りのやりとりの中で、自分の頭に浮かんだ考えを英語にする、ということは、「英語を話す」ためには必要不可欠な作業です。
実はライティングの時も、同じ作業をすることになります。
多くの日本人の方は、「英文を書く」と考えた時、「日本語を英文に訳す=英訳する」と考えるかと思います。
でも、それは違います。
私がこちらでライティングを勉強する中で思ったことは、「自分がイメージしたことを、最も表現しやすい英語で書く」ということ、つまり基本的には「英語を話す」ことと一緒。そこに、英語のライティングで良く使われる言い回しや、文をつなぐ時の表現を、取り入れていく。。。それがよい、ということです。
つまり、会話であろうと文のライティングであろうと、最も大切なことは
「主語(誰が) + 動詞(どうする) + 目的語(何を)」(文)
をイメージすること。
そして、それをシンプルな英文にする。
そこに、たとえば形容詞や副詞を足したり、接続詞や関係代名詞を使って2つの文に関係を持たせたり・・・ということで、文を広げていく。それは、とりあえずオプションととらえ、自分の現在のスキルに合わせて、できる範囲でやっていけばよいのだ、と思います。
ちなみに、本当に「英訳」=「英語翻訳」とは、それを高度なレベルで行うことだと思います。
その日本語の文章が書かれた背景を読み取り、英語の読者にそれがもっとも伝わりやすい形で英文にする、という作業ですよね。日本語と英語の、「言語としての違い」を考慮しながら、それを行います。
英語と日本語双方の幅広い知識、テーマに関する専門知識、正確な表現などなど、高度な専門性が求められると思います。
ただし、「英語で必要なことを伝える」ことを目的とした一般の英語ユーザーにとっては、そこまでのレベルはとりあえず必要ないと考えてよいでしょう。
今自分の持てる知識を最大限に使って、効果的な「英文」を作る方法を考えましょう。
では、実際にある質問サイトでみかけた、「この日本語を英訳してください」という内容を例に取り上げて、私が(汗)英訳してみたいと思います。
私の英語レベルは、このブログで何度も書いてきています。専門的な「英語翻訳」のレベルではとうていありません。
が、多くの人が「英語が伝わればいいな・・・」と思うくらいの英語表現をめざして、考えていきます。
日本語英訳の例文1
「私の夢は、海外のたくさんの人に日本の魅力を感じてもらい、好きになってもらうことです。」
日本語なら、とってもスムーズな表現です。
でも英語にする場合・・・
「私の夢は・・・ことです」 とか
「~の魅力を感じてもらい」 とか
「好きになってもらう」 とか
・・・って、どう表現するの?
「あーーーー、言えない、書けない・・・」
って思ってしまう人が多いんじゃないでしょうか?
でも、英語の表現力が豊かでない初心者の人でも、何かしら言えることはあるはず!
「私の夢は・・・ことです」という日本語にこだわって英語を考えてしまうと、” My dream is that ~~ “ と始めようとして、後がどう続けていいのか混乱しちゃいます。
夢、つまり「~できたらいいな」ということですよね?なので、たとえば “I hope I can ~” って始めてはどうでしょうか。
あえて「私の夢」と強調するなら、とりあえず必要なことを言った後で、”That’s what I’m dreaming of.” (それが私の夢見ていることです)と付け足してもいいかも?
「魅力を感じてもらう」と言いたい気持ち、日本語のニュアンスはよくわかります。
英語の表現の上手い達人なら、そんな雰囲気を伝える、適切で文学的な英語表現ができるでしょう。
でも、今の私の英語レベルでは、そんな表現は思いつきません。
だから私は、「日本の素晴らしい物を海外の人に知らせたい」って考えます。
「好きになってもらう」は・・・受け身?それとも「好きにならせる」=使役?
そう難しく考えず、つまり「(海外の人が)日本のことを好きになる」ってこと。
たとえば、受け身や使役「させる」は、すんなりと使える場合はよいですが、イマイチ頭がこんがらかってしまう場合は、動作の対象を主語に持って来てしまうのが、最も簡単でわかりやすい方法。
というわけで、こんな英文にしてみました。
” let (人) know that ~(文)” は、「(人)に (that 以下の文)であることを知らせる」という表現です。” tell many foreign people that ~” でもいいかも。
また、” such as food, culture and nature, ” (食、文化、自然といったもの)は、日本語の原文にはありませんが、このような具体的な内容を2,3入れた方が、英語の文章としてはナチュラルではないか、と思い、オプションとして書いておきました。
日本語英訳の例文2
「この企画で学びたいことはリスニング力をつけることです。リスニングの試験での点数がいつも悪いので改善したいです。」
これも、日本語ならば、なんてことない表現です。
でも、英語にすると・・・
「学びたいことは・・・です」 とか
「リスニング力をつける」 とか
「点数が悪いので改善したい」 とか・・・
ど、どう言うの????ってなっちゃいますね。
もちろん英語でも、難易度の高い表現をしようとすれば、いくらでもあります。
でも、英語初心者の人が英語で言おうと思うなら、自分が言えるレベルまでとことん簡単に簡潔にしちゃいましょう。
原文の言いたいことは、
「この企画の中で、リスニング能力を良くしたい。リスニング試験でもっといい点を取るために。」
ということです。
「リスニング能力を良くしたい。」・・・って、英語で簡単に言うには?
学校の授業などで、成績を上げること、勉強ができるようになることを表す時、improve という動詞がよく使われます。勉強に限らず、何かのスキルや能力をより高めていくことを表します。たとえば・・・。
“Her English has improved a lot.”
彼女は英語が上達した。
“I need to improve my English more.”
私はもっと英語がうまくならないといけない。
というわけで、「リスニング能力を良くしたい」は、“I’d like to improve my listening skills.” と言えます。
「テストでもっといい点が取る」は、英語にしやすいです。
“I can get better marks in exams.”
2つの文を、「試験でいい点を取るために、リスニング能力を改善したい」とつなげます。
(文1)so that (文2) = 「(文2)をするために、(文1)をする」 ※thatは省略可
というつなぎを使って、こんなふうに言うことができます。
※「企画」は、たぶん講座みたいなものかな、と思い、seminar(ゼミ、少人数の演習や講習)にしましたが、course(講座、講習)でもいいかも?
※「試験の点数」は marks、または scores でもよいかも。
※「テスト」は exams、 または tests でもいいかも。
これらの名詞は、状況に応じて適切な言葉を選んでください。
もちろん、もっと英語上級者の人なら、もっと適切で優れた表現をするかと思います。
でも、私のレベル(IELTS overall 6.0) なら、こんな感じです。
まあ、細かい表現はおいといて、このくらいだったらちょっと言えそう!?
少なくとも、思ったほど難易度の高い表現ではない、と感じるのではないでしょうか。
まとめ
自分の言いたいコトを英語にする=英訳のコツとは、まず日本語らしい繊細でふんわりした表現を捨て、とことんシンプルにすること、と私自身は思っています。
文の基本「主語 + 動詞 +目的語」をイメージして、英文を組み立てましょう。
日本語では、主語をぼかしたり、目的語があいまいだったりすることも多いので、逆にガッチリ日本語で考えてからそれを英語にしようとすると、うまくいかないんです!
頭で考えたイメージを、英語で表現する。
これを日本語でない言葉でやるには、慣れるまでは大変です。
以下の過去記事でも、頭の中の考えを「英語で言う」ためのコツを紹介しています。
もう一つ大切なことは、自分の言いたいことを言う時に、英語での表現方法は一通りではない、ということです。
日本の学校教育では、特に試験などで、日本語を英訳する問題で「●●というイディオムを使いなさい」「関係代名詞を使いなさい」というようなパターンがあります。
指定された言葉を使わないと、×になってしまいます。
まあ試験だからしかたない?のだろうけど、本来は英語にだって色んな言い方があります。
人によっても、方言によっても、異なる言い回しをすることはあります。
ネイティブ同士でも、「こういう言い方はあんまりしない」「いや、普通に言う」と意見が分かれることもあります。
あるいは、ネイティブからすればちょっと不自然だけど、言いたいことは十分理解できる・・・というレベルの英語もあります。
自分が一番伝えやすく、身近に思える表現を使って、必要なことが言い表せること・・・これが「英語ができる」ことの第一目標ではないでしょうか?
それを、「英語は絶対正しいものがあり、それ以外は間違いだ」という感覚を学生たちに植え付けてしまうような英語教育は、私は正直、反対ですね…。
言いたいことが英語でうまく言えるようになる、ということは、「日本語を英訳する」ことがうまくなることではなく、「こういう時、英語ではこういう言い方がある」というパターンのストックが、自分の中に増えてくる、ということだと思います。
たくさんの英語に触れて、そのパターンを自分の中に増やしていくこと。
それが、よりナチュラルな英文を作るコツではないでしょうか。